DVD 日活 2001/10/26 ¥4,935
伝説の巨匠・鈴木清順が手がけた異色作にしてカルト・ムービー。2001年に本作の設定を生かした続編的作品「ピストルオペラ」が、同じ鈴木監督の手で作られた。
プロの殺し屋NO.3にランクされている花田五郎(宍戸錠)は、500万円の報酬のため組織の幹部を護送する途中、NO.2とNO.4たちの一味に襲撃される。相棒の春日が倒れ、危うく危機を脱した花田は、緊張感から解放されて妻の真美(小川万里子)と野獣のように抱き合うのだった。ある日、花田は薮原(玉川伊佐男)から殺しの依頼を受ける。しかも、4人を殺して欲しいというのだ。花田は次々と指名の人間を消していったが、最後のひとりの殺しに失敗してしまう。殺し屋に失敗は許されない。組織は美沙子(真理アンヌ)という女を差し向けてきた。
モノクロながら、いわゆる“清順美学”と呼ばれる、スタイリッシュなビジュアルがふんだんに楽しめる作品。殺し屋ランキングの変動に脅えながら殺しを繰り返す男に接近する男女が、組織の手による者かというサスペンス、女性を野獣のように抱くエロティックな描写の中に、ユーモラスなシーンが挿入される。電気釜で米が炊ける匂いに恍惚とする、殺し屋NO.3の設定が、すこぶるユニーク。なお脚本の具流八郎とは、当時の日活助監督6人と、木村威夫美術監督、鈴木清順を含めた集団ペンネームとか。
カルトといいながら、世界的な監督、たとえば、ジャームッシュとかタランティーノとかに多大な影響を与えているこの作品。特にジャームッシュの殺し屋を描いた作品(なんだったか?何とかドックっていうの)はモロにオマージュ捧げられてるよね。でもあんまり僕はこの作品好きじゃないけどね。
鈴木清純は凄い現代的な感性、を備えた監督のように思う。古さが無いというか、あの時代の映画の中では明らかに異彩を放ってるんじゃないでしょか。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2001/12/21 ¥4,935
「恐縮です」を口ぐせに、有名人のスキャンダルをハイエナのように追いかけては暴露していく嫌われ者の芸能レポーターのキナメリ。そのあくどく無神経で、かつエネルギッシュな行動をとおして、現代社会におけるマスコミとそれに振り回される一般大衆の心の闇を痛切にえぐった問題作。
『水のないプール』 『十階のモスキート』と反社会的映画を企画し、主演してきた内田裕也の面目躍如ともいえる傑作で、自身も同年度のキネマ旬報主演男優賞を受賞。監督は『陰陽師』などで知られる滝田洋二郎で、これが一般映画初演出となった。
梨本勝など実際のレポーターも多数出演。また、製作当時、ロス疑惑事件で話題となっていた三浦和義が本人役で登場したり、さらにはマスコミの面前で行われた豊田商事社長殺害事件を、ビートたけしを犯人にすえて再現するなど、映画の中身も相当にスキャンダラスである。
えっと、当時の社会的問題を浮き彫りにし、また将来へ向けての警鐘を鳴らしているという意味において、この作品は大変優れていると思います。傑作といっていいと思います。特に武の豊田商事社長殺害事件の演技が圧巻で、、、この後武は確か本当にフライデーに襲撃かけちゃうんだよね。見てみて損は無いと思います。
DVD バンダイビジュアル 2004/02/25 ¥3,990
ネットが世界を覆い、人間の可能性は大きく広がった近未来。 草薙素子は公安9課に所属するサイボーグ。ある時、公安9課に1人のサイボーグが拘束された。しかし外事6課が強引にも彼を連れ去ってしまう。激しい攻防の末、彼を取り返した素子は、彼から思いもかけない申し出を受け…。
士郎正宗原作の人気マンガを、『うる星やつら2』や『パトレイバー(theMovie)』などを手がけた押井守監督が映画化。美しい背景、空間の質感まで丁寧に描写し、奥行きを出してアニメの弱点をかなりの点で克服したCGは、押井監督のアニメーション技術の集大成ともいえる。世界各国で上映され、ビデオリリース時にはアメリカのビルボードでビデオ・セールス第1位を記録した。今日のアニメを語るうえで欠かすことのできない作品である。

娯楽性は・・・無い。でも、何度となく見て、ある日突然この映画のことが理解できるようになった、と共に、なんて凄い映画だ。と、この映画の偉大さもわかったわけで。つまり、これは娯楽映画では絶対無くて、非常に芸術思考の哲学映画、若干詩的。若干タルコフスキーなわけであって。そういうのが好きな人にとってはきっとよだれものなんだろうって、つまり僕のことなんだけどね。デカルトの「方法序説」を読んでから、この映画のいわんとすることが理解できるようになったようなきがするのだけど、理解して以降、僕もこの問題、つまり人間の存在規定は、肉体によるものか、精神によるものかということは、幾度となく考える命題になってしまった。
DVD 東宝 2002/02/21 ¥6,300
ゴジラ・シリーズの第18作目。日本に未来人の乗るUFOが飛来し、ゴジラによって日本が死滅されることを予告する。それを阻止するには、かつてゴジラがまだ放射能におかされていなかった恐竜として密かに生存していた1944年の太平洋戦争下にタイムワープし、ゴジラを消滅させるしかない。しかし、そこには未来人の陰謀が隠されていた…。
前作『ゴジラVSビオランテ』に続き、大森一樹監督がメガホンをとり、タイムパラドックスを巧みに活かしたSFや戦争もの、ヒロイン・アクションなどさまざまな映画ジャンルの要素、そして当時できあがったばかりの東京都庁をぶち壊しながらのクライマックス怪獣バトルなどなど、観る者をとことん楽しませてくれるゴージャスなエンタテインメントの傑作。音楽を巨匠・伊福部昭が久々に担当したことも、ファンには大きな喜びであった。
当時小学生だった僕が前々作、前作と、なかなか楽しんでいただけに今回の作品も劇場に足を運んで見たその当時の正直な感想は、アチャー、だった。まず、前作と比べてあきらかな戦闘シーンのチャチサがショックで。だって、あきらかに飛行機が模型なんだもん。前作までは、本物の戦車とか出てなかったっけ?
これがゴジラで初めて見たってんなら、すんなり受けいられたことでも、ぜんぜん咲くから見ていたため、どうしても比較してしまう。ゆえのショックで、これ以後僕はゴジラから離れていった。
DVD 東宝 2002/05/21 ¥6,300
1984年に復活した『ゴジラ』に続く、新ゴジラ・シリーズ第2弾。本作よりスタッフが若返り、田中友幸プロデューサーの抜擢により大森一樹が監督・脚本を、『大空のサムライ』(1976)で特技監督として映画デヴューした川北紘一が初めてゴジラ映画を手がけた。また一般公募に入選したストーリーをベースにする等、意欲的な試みが数多く実施された東宝特撮映画。ゴジラによって廃墟となった新宿副都心で、ゴジラ細胞をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられる。
ゴジラ細胞から誕生した超怪獣ビオランテは、その巨大な体躯、ムチ状の触手等、これまでの東宝特撮映画の怪獣とは大きく異なるルックスとなったが、残念ながらゴジラとの戦いでそうした特徴が映像に活かされなかった。この反省から東宝サイドは、次回作に往年の名怪獣キングギドラを復活させ、ゴジラの対戦相手に決定する。
これも劇場で見たなあ。
思うに、怪獣の中で最強なのはキングギドラかこのビオランテではないかと。
正直、出来としては、なかなか対怪獣の中では良いのではないかと思うけど(というほどゴジラシリーズみてないけど^^;)、最期がなあ。。。肝心のラストが、なんだか、ガンダムみたいに、精神ものになってるような気が。
と、大変惜しい。
DVD 東宝 2002/04/25 ¥6,300
『メカゴジラの逆襲』以来、9年ぶりの復活となったゴジラ映画。その設定を原点である核の申し子、凶悪な人類の敵に戻し各分野から特別スタッフを招集。さらに特撮にも1億円を費やしてサイボット・ゴジラを投入するという渾身の製作体制で作られた。
橋本幸司監督らスタッフの意気込みは、怪獣映画におけるリアリティを追求し、なおかつドラマとしてのカタルシスを随所に配置するという構成に現れている。ゴジラ襲来の余波で、ソ連の軍事衛星が誤って新宿に核ミサイルを発射。それを米国に依頼して成層圏で迎撃してもらうくだりなど、一歩間違えば笑いを誘うところだが、データやシミュレーションの結果を描写する演出スタイルに、首相役の小林桂樹の誠実な演技が相まって場を盛り上げている。ただしゴジラに対する人間側のリアクションが今ひとつで、恐怖の象徴として復活したはずのゴジラの怖さが充分に伝わらなかったのは残念だ。
ゴジラ対〜、っていうんじゃなく、人間とゴジラの戦いが僕は一番好きだなあ。
この作品は、とてもよく出来てると思う。リアルだし、本当の自衛隊、使ってるのかな?
スーパーXがよかったね。音楽も良かったね。武田鉄也のホームレスも良かったね。
人類の驚異としてゴジラが描かれている点を僕は他のゴジラより評価してる。初代の形を純粋な意味で継承しているゴジラだと思う。と共に、僕が見た始めてのゴジラ映画で、これが初めてで良かったなあとつくづく思う。
DVD 東宝 2001/04/21 ¥6,300
日本のテレビ局の思惑で、南海の孤島ファロから連れてこられるキングコング。そして、北極の氷が解けて蘇ったゴジラ。やがて両者は日本の地で衝突し、壮大な闘いがくり広げられる。
ゴジラシリーズの第3作で、初のカラーシネマスコープ作品だ。本作では、特撮監督の円谷英二が多大な影響を受けた、アメリカ映画を代表するモンスター、キングコングが登場。日米怪獣対決を実現させているのがポイントだ。
監督の本多猪四郎は、全編でコミカルな人物描写をほどこし、ダイナミックな怪獣バトルとのメリハリをつけながら、超一流のエンタテイメントを実現させている。伊福部昭作曲による、エキゾチックな南洋秘境音楽の数々もすばらしい。東宝創立30周年記念作品。
どう考えても飛び道具(放射能)を持ってるゴジラのほうが強いだろうと思うけど、なぜかゴジラとキングコングが取っ組み合いをしている。
ドラゴンボールの世界にアラレちゃんが出てきたみたいな感じなのかなあ。ラストはお互いの国民感情を配慮してか、やっぱりなって終り方だったので、勝敗を気にしてる人には、フラストレーションがたまるかも。
DVD 東宝 2001/02/21 ¥6,300
老若男女を問わず、もはや知らない人はいないであろう全世界的キャラクター、ゴジラ。怪獣王ゴジラの、現在に至るまで断続的に製作され続けるシリーズの記念碑的第1作。最近のハリウッド映画を観るとSFX技術の発展は物凄いものがあるが、彼らSFX技術者の多くが幼少のころにゴジラを観てその道を志したというだけあって、本作は54年製作であるにも関わらず今観ても古さを感じさせない。
夜の闇の中、ようやく敗戦の傷も癒え復興に向かいつつあった東京を破壊するゴジラ。モノクロの映像がその恐怖を引き立てる。原水爆実験によって生まれた、あらゆる武器をものともしない巨大生物ゴジラを撃退する手だてはあるのか。映像の迫力、物語の密度、演出の緊迫感、それら全てがぶち込まれた、特撮怪獣映画の原点にして最高傑作である。
やっぱり、一度に全身を見せたりしないほうが迫力があるのかもしれない。このときのゴジラは技術上の問題で、全身を頻繁に見せれなかったのかもしれないけど、それが逆に迫力を増幅してくれてる気もするかな。
東京タワーで倒されるまで実況中継を続けていたレポーターの根性はアッパレだけど、ありえねーだろって思う節もある。ギャグとスリルは紙一重。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2001/10/10 ¥4,935
毎年、夏になると蓼科の別荘を訪れる新劇のベテラン女優・森本蓉子(杉村春子)と、もう30年以上も別荘を管理している農婦のとよ子(乙羽信子)。今年の夏もその別荘でさまざまな出来事が起きていく。そしてとよ子は、蓉子に向かってある重大な秘密を打ち明けた…。
名匠・新藤兼人監督が、老いと死というすべての人間が避けられない問題に真っ向きって取り組んだヒューマン映画。とはいえ、そこには肩肘張った姿勢など微塵もなく、老いを嘆くでもなく、また特権として振りかざすでもない、あくまでも静かにユーモラスなゆとりも忘れない平常心をもってつづられていく。キネマ旬報ベスト・テン第1位および主演女優(杉村)、助演女優賞(乙羽)受賞など、その年の映画賞を独占した名作。監督の愛妻でもある乙羽信子は、自分がガンであると知った上で本作に出演し、これを自身の遺作とした…と思いきや、その後新藤兼人監督の2000年公開作品『三文役者』にも本人として登場。この夫婦、いや、この監督と女優という生涯のパートナーは、やがて撮るであろう新作のためのドキュメント映像まで、そのとき既に撮っていたのだ!
洋画の「八月の鯨」とかぶるなあ。みんな良い演技してるけど、やっぱり「八月の鯨」とかぶるなあ。
ほへーって感じで見れる映画。ほのぼのと危機感があって、笑いもあって、芯の強さもある。でも、「八月の鯨」なんだよなあ。
VHS 松竹 1997/11/25 ¥16,800
妻に先立たれた中年サラリーマン森原は、娘の勧めで結婚情報サービスに入会。そこで出会った、娘ほども歳の離れたOL史華に好意を抱くが、恋に臆病な森原は…。
世の中こんな風には行かないんだろうなあ。それにしてもなんだろうこの題は。
VHS ビデオメーカー 1994/02/25 ¥16,590
売れない漫画家の日常に、つげ義春の原作マンガの映画化4編(「李さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「池袋百点会」)を挿入したオムニバス。ラストにつげ義春一家が特別出演。石井監督14年ぶりの劇場映画。
ガロ系作家が好きだったりする今日この頃。つげ義春のマンガを友達に貸したら、ただのエロ漫画やん、といってたが、微妙に違う。と思う。初期の頃のつげ作品を知っていると、その変遷はなんとなくピカソを連想させる。
ということで映画はかなりマンガに忠実で、シュール。
DVD 日活 2002/11/22 ¥3,990
昭和初期、岡山中学の南部麒六(高橋英樹)は「喧嘩キロク」とあだ名されるほどの喧嘩好きがたたり、放校処分となって会津に転校。下宿屋の娘・道子(浅野順子)に想いを寄せつつ、その地でも腕っぷしひとつでのし上がっていく麒六の、豪快で破天荒な青春像を描いた鈴木清順監督の傑作。
時にナンセンスなユーモアに包まれながらもダイナミズムあふれるアクション描写と、思春期のさわやかなリリシズムとの共存。その一方で、一瞬だけ登場する北一輝を象徴とする暗黒の時代への示唆も忘れてはおらず、それでも喧嘩一筋の道を突き進んでいく麒六の姿に観る者はカタルシスを覚える。若き日の高橋英樹の代表作の1本。可憐というたとえがぴったりなヒロイン浅野順子は、後に大橋巨泉夫人となり芸能界を引退した。
あはは、すごいなあ。この時代の映画にしてはものすごく弾けてるなあ。信じられん。マンガチックだなあ。青臭いなあ。といいながら爆笑しながら、傑作だ傑作だと感極まることでしょう。まあ一度ご覧じあれ。清順すごいなあ。
VHS バンダイビジュアル 1991/09/25 ¥16,590
押井監督の近未来バイオレンス・アクション。「赤い眼鏡」(86年)の姉妹編。ケルベロス隊の反乱から3年後、乾は台湾で都々目を探し出すが残党狩りの一段が追ってくる。
押井はアニメ畑の中で演出技術を培ってきたわけで、実写の映画的実践を踏んでいない。その押井が実写を撮ったところでアニメ的演出が露骨に見えたとしても、仕方のないことだと思う。押井の感性自体はアニメでも実写でも通用するものだと思っているし、実写の中で生きてきたなら、実写映画の中での巨匠にもなりえたくらいの才能があると僕は思っている。だけど、押井はやっぱりアニメ界で育ってきたアニメの巨匠なのであって、実写で同じようなクオリティーを要する映画が期待できるようになるには、まだまだ時間が必要だと思う。
VHS 日活 1998/09/04 ¥3,990
磐梯山の麓の田舎町を舞台に、署長(三島)以下の人情家の警官たち(森繁、三國、宍戸ら)と貧しい農民たちとの交流を、さまざまな事件(捨て子、村娘の身売り、大臣の帰郷・・・)を通して綴った、ユーモアとペーソスに満ちた人情風俗劇の名作。捨て子の幼い姉に扮した二木の名演が話題になった。久松監督の日活入社第一回作。続編が作られた。
今は亡き映画館が、つぶれる直前にやっていた昭和の映画上映で、見てきた。客はいつも大体僕一人。でも、昔の映画を大きなスクリーンで見れる機会ってめったにないのにもったいないなあなんて思いつつ。
徹夜で見に行ったので、非常に辛かった。なぜなら、数々のエピソードが並列的に並べられて、こう、気分の高揚するところがないというか、こう、テンションの起伏に乏しいというか、しかも非常に長かったし。徹夜じゃなくて、万全の状態でみたのならまた違った感慨も生まれたのかもしれないけど、う〜ん、なんだか、オムニバスみたいで、映画としての芯にかけるというか。でも、こういった小さなエピソードを淡々と描くことこそが、庶民の風俗であって、それがこの映画の芯だったのだと考えれば、そういう映画のあり方もまた一つの重要なジャンルだよなあと納得。
DVD ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002/03/29 ¥4,935
1920年代のイタリア、アドリア海には空賊相手の賞金稼ぎをしている豚がいた。「飛ばねぇ豚はただの豚だ」とのたまう彼の名はポルコ・ロッソ。紅の翼の飛行艇を乗りこなすこの豚の活躍を小気味よく描いた航空活劇である。
『となりのトトロ』などを手がけた宮崎駿監督作品だが、一連の宮崎作品に比べるとカジュアルで軽快な出来に仕上がっているのが特徴。中年男(いや、豚)が主人公というのもめずらしい。歌手の加藤登紀子が主題歌のみならず声優として参加したことでも話題になった。
荒々しくもいとおしい飛行艇乗りたちの姿や、クライマックスの空上の対決シーンなど世代を越えて楽しめることは間違いないが、豚なのに、いや豚だからこそ自由に生きるポルコを見れば、「飛ぶこと」を忘れてしまった大人ほど感じるところは多いかもしれない。
フランス版のポルコの声をしたジャン・レノは音楽が痛く気に入ったらしく、カセットに録音して車の中で聞いているらしい。
確かに音楽がいい。宮崎作品の中でも1、2を争うくらいに音楽がいい。
それにこの長閑さがいい。かなり何度もみたような気がする。魔女宅よりも好き。でもこの豚は監督だよなあ。
ラストの歌を聞くとなぜだか涙が出てきてしまうの。ノスタルジー人間だからかなあ。
DVD 東宝 2002/11/21 ¥6,300
時は戦国時代、武将・鷲津武時(三船敏郎)は、妻・浅茅(山田五十鈴)にそそのかされて主君を殺害し、その城主となるが、朝茅は次は親友の三木義明(千秋実)を殺害するよう強要する…。
黒澤明監督が敬愛するシェークスピアの『マクベス』を戦国時代に翻案して描いた、幻想と恐怖に彩られた人間の業を露にする戦国絵巻。武時に謎の予言を伝える老婆(浪花千栄子)の不気味な幽玄性や、「森が動く」という台詞どおりに本当に森が動いたとばかりに驚嘆させる映像技術の素晴らしさ、そしてクライマックスでは、主人公に本当に無数の矢を射かけていくという、ダイナミズムを通り超えた恐怖の演出をも堪能できる。能を効果的に用いた佐藤勝の音楽も秀逸で、彼は本作から黒澤娯楽映画絶頂期の音楽をことごとく担当し続けることになった。
マクベス原作だから、読んでからみたほうがおもろいかも。黒澤は、悲劇というより、ホラー仕立てにしててそれが功を奏しているように感じる。「乱」と比べると、より原作に忠実だと思う。イギリスでは、「マクベス」の映画化作品の中で最高の出来と評価されているらしいね。ラストの三船の顔は迫真だなあ。ほんとに三船に向かって矢が放たれたって逸話があるけどほんとんあのかなあ?
ちなみに僕もこの作品かなり完成度が高いと思う。
DVD PIASM 2002/03/22 ¥4,935
宮澤賢治の代表作である同名作品と、同作をもとにキャラクターを猫に置き換えて描かれたますむらひろしの漫画作品をそれぞれ原作と原案に、「タッチ」の杉井ギサブロー監督、劇作家の別役実脚本、そして細野晴臣音楽の豪華スタッフによって1985年に制作された劇場用長編アニメーション。
病気の母と暮らし、帰らない父を待つ少年ジョバンニ。星祭りの夜、丘の上で一人空を見上げていたジョバンニのもとへ、鉄道が到着する。乗り込むとそこには親友カムパネルラがいた。2人は永遠の友情を確認するかのように旅立つが、やがて別れのときが訪れる。
キャラクターが猫であることや、原作に対する解釈をめぐって賛否両論別れるものの、独りぼっちのさみしさや切なさ、さらに夏の夜の微妙に涼しい空気感まで感じさせてくれる。
宮沢賢治は詩集「春と修羅」において、自己の位相を修羅(人間よりも卑しい身分の神)に見出した。修羅は、憂悶と悲傷、しかし深い洞察力を持つ。この作品のカンパネルラというキャラクターの中に、修羅、否、賢治を見出せないだろうか。その姿勢を貫こうと思えば、ストイシズムを自分に強いることも避けられぬ必然であろう、が、僕は、それを生涯において実行しようとした賢治のような人間に、畏怖と共に憧憬の眼差しを向けずにはいられないのである。
なんちゃって、作品自体とても幻想的な仕上がりで、素晴らしいです。
DVD ポニーキャニオン 2004/03/03 ¥2,625
フリーの翻訳家の笑子(薬師丸ひろ子)は、親の勧めで医者の睦月(豊川悦司)とお見合いすることに。笑子は自分がアルコール依存症であることを、睦月は自分が同性愛者であることをそれぞれ告白し、お互い納得の上で結婚。しかし、睦月の恋人・紺(筒井道隆)の存在や、次第に自分が睦月を愛し始めていることに気づいた笑子は戸惑い、混乱していくのだが……。
江国香織の同名小説を『バタアシ金魚』『さよならクロ』などの松岡錠司監督が繊細なタッチで映画化したラブストーリーの秀作。女ひとりと男ふたりの三角関係がタイトルさながらの透明感にみちた不思議なきらきら感で包まれ、観る者をいつしか切なくも温かい気持ちにさせてくれる。主演3人がみな新境地ともいうべき役どころだが、それぞれ健気に取り組んでいるのも好感の持てるところである。
やっぱり薬師丸ひろ子なんですよ。僕は彼女の演技がなんとなく好きでね〜。
小説を読んでからみたけれど、小説の世界観、透明感がちゃんと描かれていて、とっても良い仕事してますね。小説とはまた違ってるけど、ラストのあのたどたどしい幸福感とでもいうか、なんともいえない余韻がいいね。とっても大好きな作品になりました。
DVD 日活 2002/11/22 ¥3,990
鋳物の街、埼玉県川口市。そこに住む鋳物職人の娘ジュンが、父の解雇に始まり、貧困、進学、組合、差別など、さまざまな社会問題に直面する。しかし決してめげることなく、まっすぐに青春を堪能していく姿を感動的に描いた、社会派青春映画の名作である。
寡作で知られる名匠、浦山桐郎の監督デビュー作である。だが諸問題を過剰表現することは決してなく、あくまでも日常的にとらえていることも、好感のもてる一因となっている。高度経済成長で浮かれる当時の日本の裏面をそこはかとなく活写した作品として、社会風俗的な歴史資料価値も高い。
これが初主演となった14歳の吉永小百合は、当時の史上最年少でブルーリボン賞女優主演賞を受賞し、以後大スターへの道を躍進することにもなった。
えええ!吉永小百合14歳だったのか!?
と、それはともかく、なんて生き生きとした映画。吉永演じるジュンの逞しさ。何より、この頃の親父像が。。。自分の父親とかぶるううう。母親いわく、この頃はみんな男はこんな感じだったと。こういう夫がこの時代に多くの普通の感覚だったとすれば、今の時代はずいぶんと改善したもんだ。理屈もへったくれもあったもんじゃない。自分は親で男だから何をしてもいいという家父長制的家族構造。腹が立つ。
にしても名作。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2001/01/25 ¥4,935
医科大の精神科の学生だった萩原聖人扮する青年が、催眠術を使って偶然出会った人々の心の奥に潜む狂気を呼び覚まし、次々と殺人を教唆(きょうさ)していく。役所広司扮する刑事は事件を追っていくうちに、自らが抱える不満を表出していき、皮肉にも癒されていく。
「僕の映画の中ではホラーならホラーといった、単純なジャンル性が次第に混乱を来していく」と監督が語っているように、この映画はサイコ・サスペンスの枠を超越し、人間のもろさや狂気を鋭い視点で描いた超一級作品。
観る者をぐいぐい引き込んでいく緊張感のあるストーリー展開のあいまに見せる、妙に広い病室、人気のまったくない診察室、空中を走る路面バスや残酷な殺害シーンのバックに流れるすっとんきょうな音楽は、現実と非現実がないまぜになった黒沢清独特のユーモラスな映画的世界だ。精神を病んだ妻を支える一見妻思いの刑事が、妻への殺意を表出し、癒されていく姿を演じる役所広司の演技は必見。
うーん、すごい。面白い。恐い。でも犯人の動機がわかんない。もう何回かみてみたいし、みてみないことにはね。キュアって癒しって意味なのかあ。自分の潜在的な欲望の開放。。欲望の一部分の発露の解放が、新たな抑圧を生んでいないところに、人間の本質の恐ろしさがあるのかな、ないのかな。いずれにしろ、もっかいちゃんと見てみないとわからん。

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