DVD 東映ビデオ 2007/09/21 ¥4,725
僕はドカベンの漫画を読んだことはないけれど、この岩鬼は素晴らしいと思う。
岩鬼が主人公といっても過言ではない。
ドカベン達の野球部が出来るまでの話だが、それで良かったと思う。野球はだらだらと長く、ドカベンを知らないものが見て面白みにかけるだろうし、何よりこのテンポは出せないだろう。
そう、テンポが重要だ。
本作のテンポは完璧で、見ていて全く飽きることがない。
間断なく笑いを誘われる。
コメディはやりすぎなくらいが丁度いい。
やりすぎなのに、やりすぎてないと思わせることが出来ればもう勝ったようなものだ。
そんじょそこらの娯楽ものでは太刀打ちできない面白さをこの作品は持っている。
是非とも漫画を読んでみたくなった。
大好きな故川谷拓三氏が殿馬役で出ていたのもうれしかった。
鈴木則文監督が水島新司の大ヒット野球漫画を映画化。柔道部から野球部に転部したキャッチャー・ドカベンこと山田太郎、怪力で三枚目の岩鬼正美、甲子園出場に意欲を燃やす主将の長島徹ら個性豊かなキャラクターが明訓高校で織り成す青春群像劇。
僕はドカベンの漫画を読んだことはないけれど、この岩鬼は素晴らしいと思う。
岩鬼が主人公といっても過言ではない。
ドカベン達の野球部が出来るまでの話だが、それで良かったと思う。野球はだらだらと長く、ドカベンを知らないものが見て面白みにかけるだろうし、何よりこのテンポは出せないだろう。
そう、テンポが重要だ。
本作のテンポは完璧で、見ていて全く飽きることがない。
間断なく笑いを誘われる。
コメディはやりすぎなくらいが丁度いい。
やりすぎなのに、やりすぎてないと思わせることが出来ればもう勝ったようなものだ。
そんじょそこらの娯楽ものでは太刀打ちできない面白さをこの作品は持っている。
是非とも漫画を読んでみたくなった。
大好きな故川谷拓三氏が殿馬役で出ていたのもうれしかった。
映画 『エロ将軍と二十一人の愛妾』
2007年11月5日 映画〔邦画〕
DVD 東映ビデオ 2007/09/21 ¥4,725
「王様と乞食」をベースに、徳川11代将軍・家斉の設定で、当時の田中角栄政権のパロディーをやってのけている。
現代だったらたぶん、制作の許可が下りないだろうな
ポルノなので、前半からエロ全開だが笑いの要素がふんだんに盛り込まれて、娯楽作品としてみても一級品の仕上がりとなっており、鈴木監督の手腕が存分に発揮されている。
見るからに壮年の役者が、十代を演じていること自体無理だろうとつっこみたくもなるが、制作費の関係はあっても、それすらも笑いの一部としての計算なのだと納得させる強引さに、娯楽を作る本気度が伺える。
エロなのは変わらないが、後半は一転かなりシリアスになってくる。
将軍の身代わりを続ける主人公は、その権力に拘泥するあまり、本当に大切な女性を失う。
権力の優美さに耽溺していた主人公は、ここにきて権力の欺瞞にようやく気づき、憎悪を募らせ、その地位を利用して幕府の転覆させようとするというアナーキーな展開へ。
ラスト間際の酒池肉林は圧巻だが、あまりの過激さに、数場面カットさせられたという(僕が見たのは完全版)。
主人公が切り裂いた徳川の葵紋はラスト何事もなかったかのように燦然と輝いてそこにある。
権力とはそう簡単に覆るものではないのだ。
好色家として有名な徳川11代将軍・家斉の時代。諸大名から献上された多くの美女が、将軍以外男子禁制の大奥で、女好きの身代わり将軍を相手に夜毎の宴を繰り広げる、お色気とユーモアたっぷりの艶笑喜劇。鈴木則文監督、池玲子ほか出演。R-18作品。
「王様と乞食」をベースに、徳川11代将軍・家斉の設定で、当時の田中角栄政権のパロディーをやってのけている。
現代だったらたぶん、制作の許可が下りないだろうな
ポルノなので、前半からエロ全開だが笑いの要素がふんだんに盛り込まれて、娯楽作品としてみても一級品の仕上がりとなっており、鈴木監督の手腕が存分に発揮されている。
見るからに壮年の役者が、十代を演じていること自体無理だろうとつっこみたくもなるが、制作費の関係はあっても、それすらも笑いの一部としての計算なのだと納得させる強引さに、娯楽を作る本気度が伺える。
エロなのは変わらないが、後半は一転かなりシリアスになってくる。
将軍の身代わりを続ける主人公は、その権力に拘泥するあまり、本当に大切な女性を失う。
権力の優美さに耽溺していた主人公は、ここにきて権力の欺瞞にようやく気づき、憎悪を募らせ、その地位を利用して幕府の転覆させようとするというアナーキーな展開へ。
ラスト間際の酒池肉林は圧巻だが、あまりの過激さに、数場面カットさせられたという(僕が見たのは完全版)。
主人公が切り裂いた徳川の葵紋はラスト何事もなかったかのように燦然と輝いてそこにある。
権力とはそう簡単に覆るものではないのだ。
映画 『俺に賭けた奴ら』
2007年6月24日 映画〔邦画〕1962年日活 鈴木清順
基本的に、挫折をおってそれ故ねじれた人たちは、根がいい人です。最後には、彼を助けます。
個々の人物のバックグラウンドを浮かび上がらせることで、物語に深みを与えていますね。
チャンピオンに挑むひとりのボクサーと、彼に賭けた周囲の人間たちの壮絶なドラマ。『百万弗を叩き出せ』に続くボクシングものだが、真っ赤に塗られた壁面など、後に“清順美学”と呼ばれることになる独特の色彩感覚の萌芽が見られる。真っ直ぐ過ぎるほど真っ直ぐな主人公。彼の才能に惚れ込んだ人たちがもつれ合ってドラマを複雑にしています。
基本的に、挫折をおってそれ故ねじれた人たちは、根がいい人です。最後には、彼を助けます。
個々の人物のバックグラウンドを浮かび上がらせることで、物語に深みを与えていますね。
DVD 角川エンタテインメント 2006/10/20 ¥4,935
そう思うから、間宮兄弟に好感を持ちます。
いつまでも兄弟二人で子供の見たいに、とか思う人もいると思います。でも彼らは仕事をしてますし、自分で生計立てれています。
そして、二人は毎日幸せに暮らしています。
その暮らしが、他の多くに人と違っていたとしても、それが「変」である訳ではないでしょう。
間宮兄弟は他人から幸せの形を云々いわれる筋合いはありません。
自立とはなんなのでしょうか。
一人で暮らすことがそんなに立派でしょうか?
いつまでも仲がいい兄弟。素敵じゃないですか。子供心を忘れず持ち続けている兄弟。素敵じゃないですか。
彼らは、誠実で、平和を好み、穏やかで、他人を大切にする。幸せにはそれで十分でしょう。
結婚できなくても、ダメ男じゃありません。いつまでも兄弟で暮らしていたって、ダメ男じゃありません。
仕事を持ち、ちゃんと生計を立てている中での彼らの選択です。自立した立派な大人です。しかも人を思いやる心を持った立派すぎるほど立派な。だから、静かで、穏やかな彼らの幸せを僕は応援します。ずっとこのまま、変わらなくっていいじゃないですか。彼らが幸せなんだから。
間宮明信と徹信は仲のいい兄弟。それぞれ立派な社会人だが、趣味、価値観、モテなさ加減も一緒のふたりは、仕事以外、ほとんど行動をともにしている。ある日、カレーパーティを企画したふたりは、それぞれちょっと気になる女性を招待する。一方、明信は会社の先輩の離婚に協力を求められ困惑。兄弟ふたりの平和な生活に変化が訪れる…。人は刺激を求めたがるけど、平和で穏やかなのが一番だと思う。幸せにはそれだけで十分。その他の部分は幸せには絶対必要ではない。僕はそう思います。
江國香織の同名小説を、森田芳光が映画化。映画やTVで活躍する名バイプレイヤーの佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雄が間宮兄弟に扮している。兄弟離れができない自立しきれない男ふたりの物語は、描き方によっては変人扱いされてしまいそうだが、森田監督は家族を誰よりも大切にする誠実さを全面に出し、ふたりのズレ加減をユーモアの核にして、本作をコミカルなヒューマンドラマに仕上げた。ふたりを取り巻く女性陣、常盤貴子、沢尻エリカ、中島みゆきなどが、キャラクターをしっかり際立たせた好演。しかし、なにより注目してほしいのは、佐々木と塚地。ふたりの明るいキャラクターと相性の良さのおかげで、この映画は心温まる作品になった。
そう思うから、間宮兄弟に好感を持ちます。
いつまでも兄弟二人で子供の見たいに、とか思う人もいると思います。でも彼らは仕事をしてますし、自分で生計立てれています。
そして、二人は毎日幸せに暮らしています。
その暮らしが、他の多くに人と違っていたとしても、それが「変」である訳ではないでしょう。
間宮兄弟は他人から幸せの形を云々いわれる筋合いはありません。
自立とはなんなのでしょうか。
一人で暮らすことがそんなに立派でしょうか?
いつまでも仲がいい兄弟。素敵じゃないですか。子供心を忘れず持ち続けている兄弟。素敵じゃないですか。
彼らは、誠実で、平和を好み、穏やかで、他人を大切にする。幸せにはそれで十分でしょう。
結婚できなくても、ダメ男じゃありません。いつまでも兄弟で暮らしていたって、ダメ男じゃありません。
仕事を持ち、ちゃんと生計を立てている中での彼らの選択です。自立した立派な大人です。しかも人を思いやる心を持った立派すぎるほど立派な。だから、静かで、穏やかな彼らの幸せを僕は応援します。ずっとこのまま、変わらなくっていいじゃないですか。彼らが幸せなんだから。
DVD 日活 2002/09/27 ¥3,990
ただ、どうしようもない穀潰しもいるにはいますが、小林旭はやはり任侠が似合いますね。小林演ずる鶴田は、この映画の中でも時代遅れのヤクザといわれていますので、この頃よりもさらに昔は鶴田みたいなヤクザが本当の姿だったんでしょうね。
ただ、ヤクザといえど、一人の女性に振り回されているのをみると、人間とは人の愛情無しには生きられない生き物だな〜とか、切なさを覚えますね。
義理を果たすのはいいとして、組の格を上げるとか、男としての箔をつけるのが、人を殺めて刑務所に服役することだという任侠の世界は、やはりどこか理屈が歪んでいますね。
伊豆組の幹部・鶴田は賭場で出会った女が、有名なイカサマ博奕打ちの女であることを知る。しかし、そうとは知りつつも鶴田はその女に惹かれていく。組同士の抗争アクションとロマンスを繊細に織り交ぜた娯楽作。鈴木清順の映画を見始めてから、ヤクザと暴力団は違うもんだというのがわかってきました。まあ、現在じゃ、どっちも変わりないんでしょうが、この頃は、ヤクザって言うのは、義理に厚く、一本筋を通すことも胸としていたような風があります。
ただ、どうしようもない穀潰しもいるにはいますが、小林旭はやはり任侠が似合いますね。小林演ずる鶴田は、この映画の中でも時代遅れのヤクザといわれていますので、この頃よりもさらに昔は鶴田みたいなヤクザが本当の姿だったんでしょうね。
ただ、ヤクザといえど、一人の女性に振り回されているのをみると、人間とは人の愛情無しには生きられない生き物だな〜とか、切なさを覚えますね。
義理を果たすのはいいとして、組の格を上げるとか、男としての箔をつけるのが、人を殺めて刑務所に服役することだという任侠の世界は、やはりどこか理屈が歪んでいますね。
映画 『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』
2007年5月24日 映画〔邦画〕
DVD 日活 2005/05/21 ¥3,990
映画を見ていない母いわく、宍戸錠が出ているということは、結構コミカルな内容やな、っていってたけど、その通り。これが小林旭になるとシリアスになります。そういったキャラの役割が明確なのも、見る側に印象づけるという点で重要なのだなと思いました。
宍戸錠は、ほっぺが膨らんでなければ、宍戸かいですね。
大藪春彦による小説を元に、原作のハードボイルド色をコメディタッチへと大胆に脚色して映画化した鈴木清順監督によるアクションコメディの金字塔。二転三転するストーリーのテンポの良さと、宍戸錠演じる主人公のキャラクターが一際目立つ傑作。カラーになると、車とかが古いだけで、人間なんてそんなに変わらないな〜って思いますね。探偵事務所23の所長の宍戸錠が口調も身振りも軽快で歯切れがいい。テンポがいいんで引き込まれて、面白かったです。
映画を見ていない母いわく、宍戸錠が出ているということは、結構コミカルな内容やな、っていってたけど、その通り。これが小林旭になるとシリアスになります。そういったキャラの役割が明確なのも、見る側に印象づけるという点で重要なのだなと思いました。
宍戸錠は、ほっぺが膨らんでなければ、宍戸かいですね。
DVD ポニーキャニオン 2006/07/19 ¥2,625
雲の中の様子っていう設定で別の映画も作れそうですね。
大作なのでキャストも豪華です。緊迫感もそれなりにあります。
ただ、モーリス・ジャールは巨匠なのかもしれませんが、音楽が僕には、おとなしすぎてこの作品にそぐわないような印象を受けました。
突如東京全体を高さ2キロ直径50キロの謎の雲が覆いつくし、中に入ることはおろか外部との交信まで途絶えるという怪現象が勃発。首都の機能が停止したことで国政や経済は混乱し、米ソを中心に国際的にも緊迫感が高まっていく中、東京に家族を残す電機技術者の朝倉(渡瀬恒彦)やTVレポーターのまり子(名取裕子)らは雲の中への突入を試みるが…。当時の影像技術としては、結構費用もかけて力を入れている感じがします。突然現れた正体不明の巨大な雲に首都が飲み込まれてしまう。その雲がなんなのかは、結局わからずじまいですが、SFだから、いいんだと思います。リアリズムを求めるならその現象を検証するってのもありだと思いますが、それを映画に盛り込んでも小難しくなってしまうでしょうし。
小松左京の同名小説を原作にしたSFスペクタクル大作。雲に覆われた東京の中が描かれることはなく、ひたすら外部でのドラマが進むのはやむなしだが、主人公らのメロドラマでリアル・シミュレーションとしての緊迫感が水増しになってしまうのはマイナス。監督は『二百三高地』など当時は大作登板の多かった舛田利雄だが、今回はやや畑違いの感もあった。見どころはやはり中野昭慶特技監督による特撮で、ドラマの中盤、主人公らが小型飛行機で雲の上空へ達し新宿御苑を発見するあたりは圧巻。『アラビアのロレンス』などの巨匠モーリス・ジャールが音楽を担当したことも当時話題となったが、劇中曲の多くはカズ・マツイが担当している
雲の中の様子っていう設定で別の映画も作れそうですね。
大作なのでキャストも豪華です。緊迫感もそれなりにあります。
ただ、モーリス・ジャールは巨匠なのかもしれませんが、音楽が僕には、おとなしすぎてこの作品にそぐわないような印象を受けました。
映画 『俺たちの血が許さない』
2007年5月18日 映画〔邦画〕VHS 日活 1990/02/09 ¥14,490
やくざの血、とは、やくざだった親父の血が兄弟二人にも流れているという意味もありますが、やくざというレッテルが、どんなに努力しても消せない重荷となって兄弟にものし掛かり、普通の社会で生きることを難しくしているという意味もふくまれていると思います。
結局、父の代でやくざの血を止めることはできませんでした。弟をこの世界にいれまいとした兄の思いが、結果悲劇を招きました。兄貴の運命が不憫でなりません。
「二人の息子には真っ当な生き方をして欲しい」そう願いつつヤクザの大親分・浅利源治は刺客の凶刃に倒れた。それから十八年、母はつ(細川)の女手一つで育てられて来た長男・良太(旭)はナイトクラブの支配人を、次男・慎次(英樹)は広告会社に勤め、仕事に恋にそれぞれ平穏に暮らしていた。そんな夏祭りの夜、浅草の浅利家に飛田牛五郎と名乗る老ヤクザ(井上)現れ、十八年前に源治を刺したことを告白する。はつは狼狽し二度と現れるなと追い返すが、平凡な毎日に飽き飽きしていた慎次はやくざの生活に憧れを持つ様になる。そんな弟の血の渇きを、兄の良太はいつでも優しく宥めすかすのであった。 清順監督初の日活スコープ作品。僕が数本みた清順の作品では、高橋英樹は三枚目で、小林旭は二枚目ですね。
やくざの血、とは、やくざだった親父の血が兄弟二人にも流れているという意味もありますが、やくざというレッテルが、どんなに努力しても消せない重荷となって兄弟にものし掛かり、普通の社会で生きることを難しくしているという意味もふくまれていると思います。
結局、父の代でやくざの血を止めることはできませんでした。弟をこの世界にいれまいとした兄の思いが、結果悲劇を招きました。兄貴の運命が不憫でなりません。
VHS 日活 1990/03/09 ¥7,665
やくざの哀しみを一番知っているのはやくざの世界に生きたことのある者。
事情がどうあれ、人を殺めればその重荷はついて回る。
それは自分だけではなく、愛する者をも引き裂き、不幸にしかねない。
小林旭演じる主人公は、堅気の中にもいないような正義漢で、どうしてまた任侠の世界にいたのだと。なりたくてなる者は少ないよね。
彼を追う、鬼の刑事が最後に、仏になります。
そこが素晴らしかった。
でも、正義を通すと、今も昔も辛い思いをする。
だからこそ、美しいしドラマにもなるのだけど。なんだか悔しい。
鈴木清順による小林旭主演の任侠アクションとしては『関東無宿』に次いで2作目。大正時代の東京を背景としながらも、妙に西洋風の装いをした殺し屋(川地)が登場するなど、そうした鈴木清順らしい荒唐無稽ともいえるディテールがストーリーにスパイスを加えている。
やくざの哀しみを一番知っているのはやくざの世界に生きたことのある者。
事情がどうあれ、人を殺めればその重荷はついて回る。
それは自分だけではなく、愛する者をも引き裂き、不幸にしかねない。
小林旭演じる主人公は、堅気の中にもいないような正義漢で、どうしてまた任侠の世界にいたのだと。なりたくてなる者は少ないよね。
彼を追う、鬼の刑事が最後に、仏になります。
そこが素晴らしかった。
でも、正義を通すと、今も昔も辛い思いをする。
だからこそ、美しいしドラマにもなるのだけど。なんだか悔しい。
VHS 日活 1989/10/10 ¥14,585
彼を愛した女は、彼を生かそうと苦闘するが適わぬと知ったとき、彼のつまらぬ矜持と添い遂げることを選んだ。
彼は、手榴弾を片手に言った。「俺が卑怯じゃないことを証明してやる」
捕虜になっておきながらのこのこと生きながらえ帰還した自分への汚名とやらを晴らすために、女を巻き添えに自害した。
ラスト、中国の女が言う、「日本人はすぐに命を捨てる。何があっても生きようとしないといけない。死ぬのは卑怯だ」
死ぬのは卑怯だ。
彼が自らの卑怯を晴らすためにとった行動をこの作品は最後に卑怯と言って締めくくる。
アイロニーにみちた反戦映画だ。
中国の荒野をトラックが行く。日本兵のために集められた慰安婦の一行である。その中に男に裏切られ自暴自棄の娼婦・春美(野川由美子)がいた。春美の目は刺すように鋭い・・・。僻地の村に着いたその夜、娼館に大挙して兵隊達がやって来た。女7人、兵士は1000人である。春美の相手は成田中尉(玉川伊佐男)。軍刀を振りかざす乱暴で傲慢な男である。しかし、かつての恋人への思いを成田に重ね、春美の肉体は成田を強く求め始める。一方、体とは逆に春美の心は別の男に向かい始める。成田の当番兵を勤める三等兵・三上(川地民夫)。澄んだ目をした生真面目な男である。原作は田村泰次郎。監督鈴木清順。愛国心というものの曲がった解釈が、正当の教育によりなされ、彼は義務を絆よりも大切なことと解釈し、つまらぬ矜持のために命を落とす。
彼を愛した女は、彼を生かそうと苦闘するが適わぬと知ったとき、彼のつまらぬ矜持と添い遂げることを選んだ。
彼は、手榴弾を片手に言った。「俺が卑怯じゃないことを証明してやる」
捕虜になっておきながらのこのこと生きながらえ帰還した自分への汚名とやらを晴らすために、女を巻き添えに自害した。
ラスト、中国の女が言う、「日本人はすぐに命を捨てる。何があっても生きようとしないといけない。死ぬのは卑怯だ」
死ぬのは卑怯だ。
彼が自らの卑怯を晴らすためにとった行動をこの作品は最後に卑怯と言って締めくくる。
アイロニーにみちた反戦映画だ。
映画 『河内カルメン』
2007年5月15日 映画〔邦画〕
DVD 日活 2005/05/21 ¥3,990
人生は山あり谷ありですが、辛い場面はあっても、全体的に彼女は人生を前向きに明るく捉えています。それはとても逞しい。
飄々と幸せに生きる、それがどれだけ難しいか。幸せには不幸の味も含まれるのでは。不幸がなけりゃ幸せじゃない。だって人生だもの。山があって谷がない平板な道の何が楽しいのさ、ってな感じに生きられたらと、彼女を羨ましく眺めました。
自由に生き、多くの男を愛し、逞しく生き抜いた女性の姿を描いた今東光による原作を鈴木清順監督が映画化した人間ドラマ。舞台美術のようなセットや主人公を演じた野川由美子のポップな魅力など、今見ても新鮮で飽きさせない清順輪ワールドが全開。清順の作品というのは、あれだ、モダン。そう野川由美子だけではなく、監督の作品自体がポップだなあと思うわけです。
人生は山あり谷ありですが、辛い場面はあっても、全体的に彼女は人生を前向きに明るく捉えています。それはとても逞しい。
飄々と幸せに生きる、それがどれだけ難しいか。幸せには不幸の味も含まれるのでは。不幸がなけりゃ幸せじゃない。だって人生だもの。山があって谷がない平板な道の何が楽しいのさ、ってな感じに生きられたらと、彼女を羨ましく眺めました。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2007/01/19 ¥3,990
人と人との絆というよりも恋愛の要素が強く、ふと、映画のパールハーバーもこんな感じなのかなあと思ったり。
小説と、リメイクの前の作品を見てみたいですね。
だいぶ内容が違うみたいですが、どうなんでしょう。
みっちーは、凄く演技がうまいなと思いました。俳優でやっていけると思います。
1973年に一大ブームを巻き起こした「日本沈没」。 あれから33年…… まったく新しい形=現代を背景に、いま伝説の作品が甦った。 監督は2005年、圧倒的なビジュアルセンスで日本映画界を驚かせた作品『ローレライ』で長編監督デ ビューを果たした樋口真嗣。当時8歳の彼が、映画界を目指すきっかけとなった作品が実は1973年の 映画『日本沈没』。まさに血となり骨と成った作品のリメイクとなる。 主演は『黄泉がえり』『ホテルビーナス』でも高い演技力が評価された、日本のエンターテインメント界 をリードするSMAPの草 剛。今回は潜水艇のパイロットという体力的にもハードな役柄に挑む。ヒ ロインには、美しさだけでなく、独特のオーラを放つ柴咲コウ。トラウマを抱えたハイパーレスキュー 隊員というキャラを演じることが出来る女優は、彼女をおいてほかに想像できない。その他キャストも 現在、日本映画でこれ以上望めない超大作にふさわしいメンバーが集結した。 デザスターシーンはもちろんのこと、危機管理考察と徹底した検証をもとに国土が沈没していく過程を、 自然・政治・経済ほかあらゆる角度から描いていく。特に、驚愕のエフェクトシーンの再現には特技統括・ 尾上克郎、特撮監督・神谷誠以下、日本を代表する屈指のVFXスタッフが集結。また、撮影協力として 防衛庁、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、東京消防庁と海洋研究開発機構(JAMSTEC)が全面 協力。二度とありえないであろう豪華な布陣で、リアリズムと臨場感を構築していった。 沈みゆく日本を前にして行動する主人公たちの姿に、あなたは何を想い、誰の姿を浮かべるだろうか?草薙剛の演技が淡泊すぎて、どうも僕にはしっくり来ませんでした。
人と人との絆というよりも恋愛の要素が強く、ふと、映画のパールハーバーもこんな感じなのかなあと思ったり。
小説と、リメイクの前の作品を見てみたいですね。
だいぶ内容が違うみたいですが、どうなんでしょう。
みっちーは、凄く演技がうまいなと思いました。俳優でやっていけると思います。
映画 『駅 STATION』
2007年5月8日 映画〔邦画〕
DVD 東宝 2005/01/21 ¥4,725
主人公の寡黙で無骨な真面目さは、高倉健だからこそ出る味なのだと思います。
各々に辛い人生模様。そんな過去を抱えながらも人は、けなげに耐えて、生きている。だけどやっぱり人のぬくもりは欲しいものです。人のぬくもりを求め、人の弱さを見つめ。人の弱さを知っているから、自分の弱さを人に委ねること、ぬくもりを求めることに抵抗を覚えるものです。
人の哀しみ、人生の哀しみを噛み締めながら、孤独に生きるしかない主人公が切なすぎます。
射撃選手としてメキシコ・オリンピック出場が決まっていながらも果たせなかった北海道の刑事・三上(高倉健)。彼のおよそ11年に及ぶ人生模様が、主に3人の女とのエピソードを連ねながら繰り広げられていく。たった一度の過ちを犯してしまった妻・直子(いしだあゆみ)、婦女暴行殺人犯の無垢な妹すず子(烏丸せつ子)、そして仕事に嫌気がさした三上が立ち寄った飲み屋の女将・桐子(倍賞千恵子)…。日本で、こんなに拳銃打つなんて、実際はあり得ないんだけど、そこは物語だから。
倉本聰が高倉健のために書き下ろした脚本を『冬の華』の降旗康男が監督。日本映画ならではの情緒と健さんならではのわびさびの美学が見事に融合した人間ドラマの傑作に仕上がっており、また本作で“Mr.日本映画”こと高倉健のイメージは決定付けられたと言っても過言ではないだろう。八代亜紀の『舟唄』をバックに男と女が無言で交わすクライマックスは圧巻。木村大作のシャープかつ情感あふれるキャメラ・ワークも絶品で、以後監督・降旗康男、撮影・木村大作、主演・高倉健のトリオによる作品が連打されることにもなっていった。
主人公の寡黙で無骨な真面目さは、高倉健だからこそ出る味なのだと思います。
各々に辛い人生模様。そんな過去を抱えながらも人は、けなげに耐えて、生きている。だけどやっぱり人のぬくもりは欲しいものです。人のぬくもりを求め、人の弱さを見つめ。人の弱さを知っているから、自分の弱さを人に委ねること、ぬくもりを求めることに抵抗を覚えるものです。
人の哀しみ、人生の哀しみを噛み締めながら、孤独に生きるしかない主人公が切なすぎます。
映画 『阿修羅のごとく』
2007年5月6日 映画〔邦画〕
DVD 東宝 2004/06/25 ¥6,300
女性の視点、ということになるでしょうか。
お袋、と母を呼びますが、すべてのことを包み込んで、納めてしまう存在が母であり、妻であり。
だけど、阿修羅になるのは家庭を守るためですからね。
最近思うのは、女性に限らず、人間というのは阿修羅だということですね。
昭和54年の冬、久しぶりに集まった竹沢家の4姉妹(大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子)は、70歳を迎える父(仲代達矢)に愛人と子どもがいることを知らされ、それを機にそれぞれが抱える人生の悩みに直面していく……。向田邦子さんのドラマというのを見たことないですし、小説も読んだことないんです。ですから、今回初めて向田作品に触れたことになります。
かつてNHKで放映された向田邦子・脚本の名作ドラマを、『失楽園』『模倣犯』などの才人・森田芳光監督が映画化。昭和後期の女性たちの生きざまが、現代にも巧みに訴えかける普遍性を伴いながら、観る者に心地よい感動を与える秀作である。姉妹それぞれのキャラクター分けも非常にうまくいっており、また森田演出ならではの温かみあるユーモアセンスも好調。またTV版で次女を演じた八千草薫がここでは姉妹の母に扮し、まるで作品全体を包み込むような圧倒的存在感を示している。フレンチ・ジャズ『ラジオのように』を日本家屋の風景にかぶせた大島ミチルの音楽も快調。
女性の視点、ということになるでしょうか。
お袋、と母を呼びますが、すべてのことを包み込んで、納めてしまう存在が母であり、妻であり。
だけど、阿修羅になるのは家庭を守るためですからね。
最近思うのは、女性に限らず、人間というのは阿修羅だということですね。
DVD バンダイビジュアル 2003/04/25 ¥3,990
小学生だからこそ、逆に勇気があるというか真っ直ぐというか。精通の場面もいやらしくなく、全体として清々しく、ラストに向け心地よい感動があります。子役がすごく自然な演技をしてくれているのもこの作品の良さのひとつでしょう。
自分でよくわからない気持ちを自分なりに必死に理解しようとしている「まじめな気持ち」。まじめなだけに余計ほほえましいです。
青春の入り口に立ったセイ。青春の始まり始まり〜。
『非・バランス』の冨樫森監督が贈る、児童文学会の異才、ひこ・田中の同名小説を原作とした初恋映画の佳作。大阪に住む小学生6年生のセイは京都に住む少女・ナオに一目惚れ。遠い道のりもなんのそので彼女に会いに行くが、あっさりフラれてしまい…。アマゾンのレビューの人たちと同様、劇場で見る前は全然期待してなかったんですけど。。この作品、すごく良いですねえ。
小学生だからこそ、逆に勇気があるというか真っ直ぐというか。精通の場面もいやらしくなく、全体として清々しく、ラストに向け心地よい感動があります。子役がすごく自然な演技をしてくれているのもこの作品の良さのひとつでしょう。
自分でよくわからない気持ちを自分なりに必死に理解しようとしている「まじめな気持ち」。まじめなだけに余計ほほえましいです。
青春の入り口に立ったセイ。青春の始まり始まり〜。
DVD 東北新社 2003/05/23 ¥4,935
人気ミュージシャンのUAと浅野忠信共演の、個性的な人々が集う銭湯を舞台にしたラブ・ストーリー。UAがなんか独特な雰囲気を醸し出してていいですね。水の女っていうニュアンスにぴったりきます。とにかく水がたくさん出てきます。露天風呂の富士山は、すごく時間がかかったろうなあとか思いますね。ところで、これって恋愛映画だったんですね、
父親と銭湯を営む涼(UA)は、自他共に認める雨女。婚約者と父を同時に亡くし、傷心旅行に出た涼が旅から帰ってみると、留守宅に見ず知らずの男・優作(浅野)が上がり込んでいた。 手配中の放火魔である優作と涼の奇妙な共同生活がはじまり、やがてふたりは愛し合うようになる。
雨女の涼と火に安らぎを覚える優作という取り合わせがおもしろく、孤独を癒やしあい、愛しあうようになるさまが水と火を使った詩的な映像でつづられている。UAと浅野忠信の相性もよく、UAは初主演作とは思えないな自然さ。共演の小川眞由美、江夏豊、元JUDY&MARYのYUKIなど個性的な面々が、物語をより豊かなものにしている。
DVD ハピネット・ピクチャーズ 2002/12/21 ¥4,935
僕はといえば、知っているのは、あの山荘に直撃するクレーンでつるした鉄球・・・。
本作は、その事件の全容を劇中劇という形で描いていますが、観ているうちに、これが劇であることを忘れ、劇中の人物が演技を中断する演技をしている場面で、これは劇中劇だとハッと気づくということがしばしば。それほどに、迫真性に飛んだ演技の中での演技を俳優たちはしています。
閉鎖的思考、閉鎖的空間、閉鎖的集団に陥った人間の狂気たるや、現実であるだけに、バトルロワイヤルなどで感じる以上の恐怖がそこにはあります。
純然たる理想だとしても、客観的な批判の排除された場所では、独善の肥大化や権力の道具に堕する危険性を常に孕んでいるのだということですね。
連合赤軍のリンチ事件を題材にした小説『光の雨』が映画化されることになり、若手キャスト(結木奈江、山本太郎ほか)が集結して撮影に入るが、まもなくして監督(大杉漣)は失踪。彼は赤軍を同時代を生きた男でもあった。代わって、それまでメイキングを回していた新進監督(萩原聖人)がメガホンを取り、撮影は続行される…。僕が生まれる前に起こった、浅間山荘事件は、両親の世代には忘れられない事件であって、僕も何度となく聞かされました。テレビの前に一日中張り付いて観ていたと。
高橋伴明監督が、これだけは撮らないと自分の20世紀は終わらないとの覚悟で取り組んだ社会派青春映画の傑作。立松和平の原作が劇中劇として描かれ、当時の若者たちの思想を理解できず、混乱しながら役を演じていく若手俳優たちのドラマとクロスしていく。理想を追い求めた果てが仲間同士の殺りくであったという痛恨。それは決して過去の出来事理ではなく、閉塞的現代とリンクする歴史的重要な惨劇であったことまで思い知らされる、必見の作品。
僕はといえば、知っているのは、あの山荘に直撃するクレーンでつるした鉄球・・・。
本作は、その事件の全容を劇中劇という形で描いていますが、観ているうちに、これが劇であることを忘れ、劇中の人物が演技を中断する演技をしている場面で、これは劇中劇だとハッと気づくということがしばしば。それほどに、迫真性に飛んだ演技の中での演技を俳優たちはしています。
閉鎖的思考、閉鎖的空間、閉鎖的集団に陥った人間の狂気たるや、現実であるだけに、バトルロワイヤルなどで感じる以上の恐怖がそこにはあります。
純然たる理想だとしても、客観的な批判の排除された場所では、独善の肥大化や権力の道具に堕する危険性を常に孕んでいるのだということですね。
DVD ビデオメーカー 2004/05/22 ¥5,040
もともと本を読み出したのがはなはだ遅かったので、詩まで手を伸ばせず、ほとんど詩というものを読んだことがないのです。
金子さんの詩集は、映画館に置いていて、ぱらぱら眺めた程度ですが、読みやすく、すがすがしくちょっと切ないような感じがしました。いつか読んでみたいですが、いつになることやら。
作品ですが、ここに描かれた話が真実かどうかは、やはり彼女の詩を読んで各々がどう読み取るか、感じるかでしょうね。
彼女の作品を読んだことない僕は、映画をただ無条件に受け入れるしかなく、自分の予測や解釈の入り込む余地はありません。
だから、ふつうに物語として見させてもらいました。
『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠監督が、26歳で夭折した童謡作家・金子みすゞの生涯を映画化。没後幻の天才作家として語り継がれていたが、近年になり遺稿集が発掘され注目を集めている。優れた作品を残しながらも死を選んだ、その真意を探る。恥ずかしながら、僕はこの映画を見るまで金子みすゞなる人物を知りませんでした。
もともと本を読み出したのがはなはだ遅かったので、詩まで手を伸ばせず、ほとんど詩というものを読んだことがないのです。
金子さんの詩集は、映画館に置いていて、ぱらぱら眺めた程度ですが、読みやすく、すがすがしくちょっと切ないような感じがしました。いつか読んでみたいですが、いつになることやら。
作品ですが、ここに描かれた話が真実かどうかは、やはり彼女の詩を読んで各々がどう読み取るか、感じるかでしょうね。
彼女の作品を読んだことない僕は、映画をただ無条件に受け入れるしかなく、自分の予測や解釈の入り込む余地はありません。
だから、ふつうに物語として見させてもらいました。
DVD ジェネオン エンタテインメント 2003/09/10 ?4,935
台詞がくさいとか、恥ずかしいとかは、大林作品を見る上で、心の準備はできているので、僕はあまり違和感を感じません。そういう世界もあり、だと思いますから、映画では。
僕が大林作品に求めるものは、監督も狙っているところの、懐かしさ。。恥ずかしさや露骨な、というか王道ともいえる安易な演出からほの見えるノスタルジーなのです。懐かしい時間といえばやはり中心になるのは青春でしょう。青春は横道な表現で甘酸っぱい。だから恥ずかしくていいんです。大げさで、演技がかってて、失笑が混じったとしても、いいんです。見てるうちにだんだん微笑ましくそして大林監督のロマンチシズムに好感を覚えてくるんです。まあ、これは僕自身がノスタルジー人間だから何でしょうけど。
大林監督、自身の所縁の場所で地方発信型映画とってますが、尾道の次は大分三部作とかでしょうか。
大分人としては歓迎するところです。
でも『なごり雪』のラストのベンガルの演技はさすがに。。。(笑)
ストーリーとしては夏目漱石の「こころ」が思い浮かびました。
伊勢正三によって作られたヒット曲「なごり雪」をモチーフに、大林宣彦監督が、尾道から大分県臼杵に舞台を移し描いたラブストーリー。妻に逃げられ人生の希望を失った50歳を迎える祐作が、かつての友人からの帰郷の誘いで故郷・臼杵へ向かう…。良くも悪くも大林監督の作品です。
台詞がくさいとか、恥ずかしいとかは、大林作品を見る上で、心の準備はできているので、僕はあまり違和感を感じません。そういう世界もあり、だと思いますから、映画では。
僕が大林作品に求めるものは、監督も狙っているところの、懐かしさ。。恥ずかしさや露骨な、というか王道ともいえる安易な演出からほの見えるノスタルジーなのです。懐かしい時間といえばやはり中心になるのは青春でしょう。青春は横道な表現で甘酸っぱい。だから恥ずかしくていいんです。大げさで、演技がかってて、失笑が混じったとしても、いいんです。見てるうちにだんだん微笑ましくそして大林監督のロマンチシズムに好感を覚えてくるんです。まあ、これは僕自身がノスタルジー人間だから何でしょうけど。
大林監督、自身の所縁の場所で地方発信型映画とってますが、尾道の次は大分三部作とかでしょうか。
大分人としては歓迎するところです。
でも『なごり雪』のラストのベンガルの演技はさすがに。。。(笑)
ストーリーとしては夏目漱石の「こころ」が思い浮かびました。
映画 『こどもの時間』
2006年9月25日 映画〔邦画〕「汚さないで」「やめてちょうだい」「はやくして」とうるさい自分の口にチャックをするために。
おとなとは違う〈こどもの時間)を生きている、彼らの思いを見逃さない母親になるために。
この映画を作りました。 監督・・野中真理子
埼玉県にある、いなほ保育園に通う園児たちの姿を映した映画です。この保育園は、山羊や馬などの動物たち、火や水が生活の身近にあり、子供たちをそこから遠ざけません。
子供たちは、泥だらけになり、冬には焚き火で体を温めたり、その日で食べ物を焼いたり炊いたりして食べます。
0歳から6歳までの子供たちおよそ100人が、30人の大人たちに見守られながら、そして大人たちを真似て、生活力を身につけていきます。
子供たちは、やはり自然の中でこそ生き生きと映ります。自然は、子供には、たくさんの未知との遭遇があります。危険やマナーはこうした自分自身の経験の中で培っていくべきなのかもしれませんね。
泥だらけの手でほう張るご飯のおいしそうなこと。