シンプルという難しさ
シンプルという難しさ
●僕は「森博嗣」という作家の作品を読んだことがないのだが、この人のエッセイなどは何冊か読んだ。
人として大変興味があるからだ。
大学教授をしながら、作家として多作で、自分の趣味も充実している。
そこまでのバイタリティに惹かれる。

熱中時間、という番組で、彼が取り上げられていた。
http://www.youtube.com/watch?v=7nHg-2MrQM0&feature
彼の生活スタイルは常にシンプルだ。
平日一日の大半は大学での研究。帰宅してから3時間執筆活動。
そして15分だけ趣味の工作。
この生活を繰り返している。
このスタイルのために、彼は新聞もテレビも一切見ない。

「何故そんなに沢山のことをこなせるのかと言われるが、僕がしていることは、毎日大学いって帰って飯食って書斎に行っての繰り返し。見んな多趣味ですよね、ワールドカップでサッカーのどこが勝ったとか、マラソン見なきゃとか。僕はほんとに好きなことだけしかしない」
好きなことをするために、ストイックなまでに無駄な時間を削る。
実は作家になったのも、趣味(夢)を実現さるためだったとか。
作家になることが夢でなく。
彼の情熱はすさまじい。


●夕方から映画を観にシネマ5へ。
ビクトル・エリゼ監督の『エル・スール』鑑賞。
父を自殺で失った少女が父との想い出を回想し、やがて旅立つまでを描く。製作はエリアス・ケレヘタ、アデライダ・ガルシア・モラレスの原作を基に「ミツバチのささやき」のビクトル・エリセが監督・脚本。撮影はホセ・ルイス・アルカイネ、美術はアントニオ・ベリソンが担当。出演はオメロ・アントヌッティ、イシアル・ボリャンなど。

http://www.youtube.com/watch?v=1_TnvX0QF18&feature
これまた「ミツバチのささやき」同様、子供の心の襞を表現し、その清張をリアルに描写している素晴らしい作品。
父という絶対であり安心の存在もまた人間であるということを知っていく過程の子供の心理の揺れ。
自分の悩みを知ってほしいとベッドの下に隠れ沈黙し続けるという挑戦に、「父は探しにきてくれると思っていた。でも父は私の沈黙に対して沈黙と言う形で、自分(父)の悩みがさらに深いものであることを示したのだった」
娘は泣く。母が見つけて何故泣くのと問うと、「泣きたいから泣くのよ」というこの瞬間が悲しすぎる。しかし美しい。
この映画は成人に達した娘の回想という形で進むが、当事(幼い頃)の彼女は父の悲しさ、自分の悲しさを感じはしてもそれが何故かということを完全に理解はできない、ただ泣くしかないのだ。
幸せな家庭を築きながらも過去の愛に、未練に引きずられ、そして悲しい結末を迎える。父親は理知的で慈愛に満ち、穏やかな人物であった。
しかし、どんな人間も内心に抱える不条理性がある。彼はそれに押しつぶされる。
静かな演出が、彼や彼女の苦しさ、悲しさを際立たせる。


●今日の飯
卵かけご飯、小松菜とちくわのお浸し、味噌汁、野菜ジュース

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