●昨日のO君との会話の中で、映画や漫画によくみられるパターンで、たとえば仕事のあとに事件が起こって激しい展開が繰り広げられたり、気力張りなりに登場人物が行動しているのは、妙な違和感を感じるという話題になった。あんた、さっきまで仕事してたのに、何でそんなに元気に動けるのだと。
日常の生活では仕事が締める割合は大半だと考えている。
だけど映画や漫画、小説などで、そういった仕事の存在が具体的な生活の一部として描かれている作品はとても少ないように感じる。
たとえ仕事のことを題材にしている作品にしても、仕事が本人の肉体や気力に与える様々な現象までも含んで描いている例はあまり見られない。
仕事で何かのプロジェクトがあっても、それをどう発展させて、どう打開させていくかなどは問題となっても、それに向かおうとする人物の仕事に対する葛藤や体調、気力などが具体的に言及されていたりはしない。
確かにドラマにしやすい題材ではないし、そういうネガティブな世界からの逃避の意味も込めて、映画や小説などは存在している部分もある。
しかし、一方で、そういったネガティブな部分をドラマの主体とした作品があってもいいのではないかと思うし、そういった作品はむしろ僕らの日常と非常にリンクして、現実味を帯びる、という意味で面白いのではないかと思う。

作品に仕事の影を残す。
たとえば、仕事後に先輩から呼び出される、そこで事件は起きる。というのが普通の設定だとして、仕事の影をおびた作品では、仕事後に先輩から呼び出されたが、主人公は「今日は生産数がやたら多くてむちゃくちゃ疲れたんで、勘弁してください」と断る。
家に帰ってバタンキュー。後日事件があったことを知って、なんてこったと思うが、それよりも明日の仕事のことが億劫で仕方がない。
先輩から、何日に会えないかといわれるが、その日はどうしても外せない仕事がある、先輩は休めという。本来のドラマなら、そこで主人公は仕事を休んで先輩と会い、ドラマが展開していくが、仕事の影をおびた作品では、「そんなことしたら同僚に悪いですから」と休んだりしない。
他にも、仕事後にもうひとつ探偵業をやっている主人公という設定があったとして、しかも、彼は非常にその筋でエキスパートであったとして、しかし本業の方で、対人関係で問題を抱えていて、「ああ、明日も仕事だ、○○さんと会いたくないよお、仕事やめよっかなぁ」とかいう悩みで頭が一杯で抑鬱気味。それゆえに探偵業にも影響を及ぼして、重大な失敗を招くとか。

そういう作品があってもいいんじゃないかと思う。

昔、しゃべり場で高村薫が、仕事というのは、一日の自分の気力の8割9割使わないとこなせない。何かをやりながらほどほどで片手間でできる仕事なんてない。
小説家になる際、私が仕事を辞めたのは、小説を書き出すと仕事に支障を来たすからです。
みたいなこと言っていたが、実際、平日はほぼ仕事なわけだから、主人公の心理や行動に全く仕事が影響しないわけはなく、何らかのドラマが存在するとしてもそこに常に仕事の影が忍び込んでいる方が、非常にリアルでかつ共感できるストーリーとなるのではないかと思ったりした。


●ああ、仕事だ、めんどくさい。

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