人形

2008年12月14日 ポエム コメント (2)
人形
(これは、僕が離人症っぽくなった小学生のときの心情を綴った、なんちゃって詩です)


僕は人間だと思ってた
だけど、みんなと違ってた
みんなのするようにできなかった
みんなは僕にひどいことをした
なぜそんなことするのかわからなかった

悔しかった
悲しかった
苦しかった

でも僕はみんなのように笑えなかったから
みんなのように話せなかったから
みんなのように振舞えなかったから

そうだ、僕は人間じゃないんだ

僕は僕を捨てることにした

ゴミ置き場に放棄した

使いふるされた人形

邪険に扱われてボロボロにほころんで

僕はゴミになった

粗大ゴミ

人形だから、人間の真似をしなくてよくなった

みんなと同じようにふるまえなくったって
笑えなくったって
話せなくたって

人形だからあたりまえ

どんな扱いを受けても

人形だから当たりまえ

何の感情も無くなった

怒りも
悲しみも
憎しみも

そして、物陰から
もう一人の僕が人形をみてる

その僕は
「あ、また人形が酷い扱いうけてるな」
って見物してる

ああ、なんて楽なんだろう
人間であることをやめるだけで
こんなに楽になるなんて

でも、なんだろう
このさびしさはなんだろう
人形なのに
おかしいね


人形でいたら暇になった
きっと悩んだり、
苦しんだりする時間がなくなったから

暇をもてあましたもう一人の僕は
人形を操ってみることにした

はなから人形なんだもの
好きに動かしたって
みんなと違ってたって

平気

みんなと違ってたって
もう恥ずかしくない

とりあえず人形を
思い切り笑わせてみる

あ、笑った

笑えた

とりあえず
しゃべらせてみる

あ、しゃべった
しゃべれた

面白くなって
いろんな風に操った

そんな日々が続いて
ある日
不思議なことが起こってることに
気がついた

あの人
僕を邪険に扱わなくなってる

あの人
僕を友達だって言った

もちろんみんながみんなってわけじゃない

でも
僕には
初めての体験

人形じゃなくて、人間としてみてくれてるの?

それに気付いたとき
人形のはずの僕が
一つだけ捨てられなかった

さびしさ

ふっと消えた

いつの間にか
僕は人間に戻ってた

もう物陰からみてるもう一人の僕
いなくなってた

たった一人の
僕にになってた

不器用だけど

感情を出すことができる人間に

いつの間にか戻ってたんだ

コメント

nophoto
misawo
2009年9月3日1:01

はじまして。
先日、「あなたが美しいのは」の歌偶然出会い、感動し、検索していたらここへ辿り着きました。そしてキタムさんのコメントにとても共感致しましたのでコメントさせて頂きました。
そしてなぜか、この詩「人形」が気になり「あなたが美しいのは」の歌のようにこの詩が頭から離れません。
私の場合はこの詩の世界でお話すると、ゴミになってしまった自分は遠くから覗いている様です。まだ、一人の人間として合体(?)していない様に感じます。
感受性が強い分、感情が出し難いのでしょう。

きっと、自分の身体へ戻るには「あなたが美しいのは」のように、殻を破り、胸の底に沈む宝を手に入れる必要があるのでしょうね。

このブログに出会えたこと、この素敵な縁に感謝します。

私は演劇活動をしながら、人間あるべき姿を目指しています。

ひとつになること。
そのためには、今を生きるしかない。

遊びながら、今を生きられたら、素敵でしょうね。

キタム
2009年9月5日11:22

>misawoさん
はじめまして。
「あなたが美しいのは」を通じてここを訪れてくれる人が結構いるようでとてもうれしいです。この日記を見つけていただきありがとうございます。
僕は今は離人症ではありませんが、あのときに捨ててしまった自分に対する自信みたいなものをまだ拾えていません。
人間としての尊厳はあると思います。
生きていく価値もあると思います。でも心の奥底で、そのことを無条件で肯定できずに「自分は無価値だ」と思ってしまっているようで、それが自分自身の自信のなさに現れているみたいです。

misawoさんも今まで生きてきた中で、とても辛いことがあったことだと思います。
今を懸命に生きていったら、もがきや苦しみの先に、きっと希望があると信じています。演劇は、僕も興味があるのです。
僕は人間のあるべき姿を探しながら読書や映画に接してきました。そしてそのおかげでここまで立ち直れたのだと思っています。演劇も様々な人の人生や性格を自分が演じることでそこから見えてくるもの、得られるものがあるのだと思います。

それは、様々な人の思いや人生をたくさん知っていくということ、その中に、きっと一つになれるヒントが隠されているんだと思います。
お互い、どんなに時間がかかろうと、胸のそこの宝を手に入れるために、一つになるために頑張っていきましょうね。


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