映画 『カフカ 田舎医者』
2008年6月17日 映画〔邦画〕繰り返される現実に、絶望を抱えて生きる。”田舎医者”はわたしたちの日常にいる― 日本人初、オタワ国際アニメーション映画祭グランプリ受賞作品。『頭山』の山村浩二が挑むカフカの世界。 (ストーリー)田舎医者は困り果てていた。すぐにでも患者のところに行かねばならない。そんな時、ふと目の前に突如あらわれた馬子。馬に乗ると一瞬にして遠く離れた患者宅に到着した。何か困ったことがおこると、神様は私に救いの手を差し伸べてくれる―。暑く湿った部屋。すすり泣く家族。わき腹に薔薇色の傷を咲かせた少年。だが、どうしようもない出来事ばかりを前にして私は何もできない。私は医者だ。私は無能だ。自分を救うために自分をだまし、こうして私はまた絶望の朝を迎える・・・。カフカ作品の不条理さや、根底にある、疑心暗鬼などを言葉やストーリーだけでなく、その絵柄で表現することに成功している。
見るものにとって不可解な、ある意味シュールなこの世界観を絵がさらに肥大させ、医者の深層心理、医者から見たこの世界というものを我々の前に見事に顕現させている。
ある意味、カフカの世界観を忠実に再現しているといっても過言ではないのではなかろうか。
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