映画 『サルバドールの朝』
2008年5月14日 映画〔洋画〕1970年初頭、独裁政権末期のスペインを舞台に、不当な裁判で死を求刑された青年が闘った最後の日々を実話を元に描いた衝撃と感動のストーリー。主演は「グッバイ・レーニン」のダニエル・ブリュール。
独裁も支配者が、善政を貫けるなら、一つの社会の体制として現在も機能しているのだろうが、現状は独裁が必ず腐敗することを示している。
映画では成年の志にそこまでアナーキズムなものを感じさせない。どちらかというと、若さに裏打ちされた勇猛な好奇心と冒険心が発端のような感じだが、それが実際のところなんじゃないかと、逆にリアルではある。
圧制というものがどれほど民衆に苦痛を与えるのかは、僕たちには想像の範囲を出ないが、民主主義にもたくさんの民衆のルサンチマンは存在するのだから、やはり相当なものであったろうということは感じる。
圧政のうちにもっとも色濃く現れる不条理といえばやはり官憲の機能だろう。
裁判であって裁判でない。
これは歴史的事実であって、作品は、主にそこに焦点を当てているともいえる。
ただ、後半裁判の行方がメインになるなか、成年の社会的貢献という部分が薄弱であるように感じ、そこに不満残る。
ラストは、事実ではないだろうが、死刑執行するものもまた人間である、という死刑制度に対する一つの問いかけにはなっていると思う。
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