映画 『この道は母へとつづく』
ロシアの片田舎にある孤児院では、裕福なイタリア人夫婦に引き取られることが最上の幸せであり、誰もが選ばれる日を夢見ていた。ある日、ようやく6歳のワーニャにそのチャンスが巡ってくる。ところが、自分がイタリアへ去ったたあと、もしほんとうのママが会いに来たらどうなるのだろうと不安が芽生えたワーニャは、まず、年長の少女に字を習い、こっそり出生記録を調べ、実の母を探すため一人孤児院を脱走する。

ロシアには、現在も孤児が沢山いるみたいだ。
彼らは、大人になると、肉体労働者かグレるくらいしか無いくらい道は狭い。だけど、裕福な一家に養子に迎えられることで道が開ける可能性がある。
孤児院の院長は、孤児達を養子に出して利益を目論むが、だからといって院長が悪いわけでもない。
貧しいロシア経済では、こうやって餅代を稼ぐのも必然の成り行きだろう。院長が孤児院をやっているのは、やはり孤児達を救いたいという思いからであり、可能性の道を開かせたいからだ。
それは、恐らく院長自身が孤児で、夢に破れたものだったからだろう。
しかしながら、子供にとって生みの親とは掛け替えのない存在で、会いたいと思う一心な思いも理解できる。
孤児院には秩序があり、厳しいルールに基づいた仲間意識を醸成することが重要なのも解る。
つまり、誰が悪いということもない。ようは、こういった社会のあり方が悲しいというだけだ。

この作品は、事実に基づくいわいる「母を訪ねて三千里」もので、子供の純真な健気な心は、観るものの心を動かしもするが、この子が母親に会えたからと行って、他の子がそう上手くいくはずもない。
問題は問題として、厳然としてここにあり、孤児達は、今も養子になるチャンスを伺いながら孤児院で貧しく暮らしているのだ。

それにしてもこの子はかわいくもしっかりしているなあ。
厳しさは人を早く大人にしていくものなのだろうな。

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