DVD アミューズソフトエンタテインメント 2008/03/26 ¥3,990
内戦で父を亡くしたオフェリアは、母の再婚相手のヴィダル大尉の元に身を寄せるが、彼は残忍な本性をちらつかせる。孤独と不安に苛まれ、森を彷徨うオフェリアが足を踏み入れたのは迷宮。彼女の前に現れたパン(牧神)は「魔法の国のプリンセスに違いない。それを確かめるためには、3つの試練を克服しなければ」と言うのだった…。
過酷な現実との対比としての、理想の国。
僕は、その理想の国が描かれていると思っていたけど違った。
よくよく考えてみれば、ラビリンスなのだから、その理想の国に行くまでの迷宮が描かれているのは当然のことだね。

母の再婚相手のビダルは、厳格な軍人であり、体裁、対面、名誉を重んじ、規律のためなら、人間の命すら軽んずる酷薄な男である。
共産主義のレジスタンス達は彼に対抗している。
オフェリアが仲良くなった女中はレジスタンスの送ったスパイだった。

共産主義が今日、破綻すべきものだったという結果はさておき、共産主義の理想はもともと善良なものから発する。
だからといってどちらが正義だということは言えないのだけれど。
この作品では共産主義者達が善良な人々として描かれているね。

主義云々の問題ではなく、養父に問題がある。
母親が、自らの命を犠牲に子を産んだとき、少女は現実に見切りをつけた。
オフェリアが理想の国へ行くための試練は三つあるが、何よりの試練は、現実主義の大人達だったろうと思う。
最終的に、彼女は、死を持って試練を果たすことになるが、この場面は、予想外で、思わず涙腺がうるんでしまった。

彼女は、試練を果たし、理想の国にいけるわけだが、ここでもって初めてその理想の国の一端を見ることができる。
父親と母親がいる。母親は死んだあの母親のように見えたけど・・・?
パンフレットの表紙は、まさにこの理想の国に行くことができた瞬間の彼女だったわけだ。

しかしながら、この作品は、ハッピーエンドではない。
彼女は結局、死を持ってしか理想の国へたどり着くことはできなかった。
つまり、現実の世界に理想の世界に描かれるような平和は存在しないというアイロニカルな作品なのだ。
彼女が出合ったラビリンスが、本当の世界の話なのか、はたまた少女の作りあげた想像上の世界なのか。
どちらにしても、これは悲しい大人の童話であることに変わりない。

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