魔女狩りが行われていた昔のノルウェーの村。牧師アプサロンの後妻アンネは、神学の勉強から帰ってきた前妻の息子を誘惑するが、魔女の血をひく彼女には魔女狩りの手が迫っていた…。
神父は、魔女裁判の時、助けた魔女の娘を妻とした。
魔女狩りが架橋を極めたとき、一人の魔女が、助けを求めに神父の元にやってくる。
過去魔女を助けたということを知っているからだ。
それは神父としてはあってはならない例外、神父は人間が持つ愛情の為に神を背き、その前例のために一人の魔女の処遇を巡って逡巡する。
この場合、どちらの選択をとっても神に背くことになる。
神父が自利に走った瞬間から、降ろせない罪を背に担うことは決まっていたのだ。
結局、神父はその魔女を見殺しにし、自分の過ちは封印する。
だが、事実を知る魔女の娘（神父の妻）は神父を憎む。
元々神父を愛することのなかった娘は、神父の息子を愛してしまう。
息子と魔女の娘は互いに恋仲になるが、そこには、障壁がある。それは息子がもっとも敬愛する父の存在。
娘は、魔術によって、神父を殺害する。
神父の葬儀の時、新婦の母が、妻が魔女の娘であることを暴露し、魔術によって神父を殺したことを糾弾する。
愛する娘のそばに寄り添っていた神父の息子は、最後には母のそばで娘を嫌悪と共に見つめる。
娘は、涙と共に、夫を魔術に寄って殺したと認める。
はたして魔女の娘は、自分に魔術があることを知っていたのだろうか。息子を真実に愛していたのか、それとも、神父に対する復讐のために息子を利用しただけなのか、判然としない部分はあるが、この映画が伝えようとするところは、人間の脆弱性と浅ましさだと思う。
自己の欲望に打ち勝てずに、信念すらをも犠牲にすしてしまう人間。真偽を確かめることなく、自己の利のために愛情すらをもたやすく捨て去る人間。立場を持たない浮遊する人間。
度し難い人間の姿が悲劇というドラマを形成している。
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