DVD パイオニアLDC 2002/02/22 ¥4,935
女の魂の渇望を描いている。ガートルードは夫との結婚に幻滅し、若きピアニストに愛を求める。しかし、恋人は愛の深みを理解しようとはせず…。

劇場で、数回にわたって眠ってしまったのでたいそうなことは言えないが、長回しが目についた。会話中の人物達がほとんど目を合わせることがないのは、どういう狙いがあってかよくわからないが、見るものの想像力を喚起させる深遠さを醸し出してはいると思う。
ゲアトルーズは、愛の理想に燃え、愛のために生きる男を追い求めた。
故に、彼女は、最終的にひとりでいることを選択した。
夫や、出合った男達が彼女を愛していなかったわけではない。彼女の求める愛に釣り合わなかっただけだ。
しかし彼女の求める愛とはなんなのか。
人間は日常の営みの中で生きている。ゲアトルーズだけを見つめて生きることなど到底不可能だ。しかし彼女はその不可能を求めた。
彼女の信念は強固で、畏怖するものがある。
しかしながら、そこに相手の立場というものはない。
彼女は孤独を選んだのではなく、孤独にならざるを得なかったのだ。
愛に生きるという信念を貫くために。
彼女は他者からの愛を求めたが、他者への愛を実践しなかった。
彼女は、真実の愛の人生を歩んだと考えたが、実際には、真実の愛という理想を求めた人生を歩んだのだ。
自分が愛に妥協すれば、愛の理想を自ら壊してしまうことを知っていたからこそ、彼女は真実の愛を与えてくれるものにしか愛を与えないという受動的な選択をするしかなく、孤独であるしかなかったゲアトルーズは、逆説的に真実の愛が不可能であることを自ら立証してしまったといえるのかもしれない。
強迫的な理想や信念というものは往々にして人を孤独へ追いやってしまうものだ。

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