ISBN:4334726909 文庫 瀬戸内 寂聴 光文社 1998/10 ¥480
人はひとりで生れ、ひとりで死んでゆく。恋人がいても、家族に囲れていても、しょせん孤独。群れていても、若くても、老いても孤独。ほんとうに自分が孤独だと感じたことがない人は、真に人も愛せない。孤独と向かい合い、飼い馴らし、新しい自分と出会える人だけが人生に輝く道を発見する。孤独を生ききるにはどうすればいいか。答えがこの本にある。
孤独は、克服するものじゃありません。
そもそも、孤独は、そんな否定的なものじゃないと思います。

著者の得度するに至る経緯は、聞くにかなりの激しい道のりだったようです。その著者の孤独感が得度したことによってどう変容したのか。変容したのであればこそ、本書で孤独を語ることができるでしょう。つまり、孤独を客観する視座を、仏の道に入ることで得たわけです。
人間は、過ちを犯します。僕もそれは認めてきたつもりです。ですが、僕は他者を傷つけてまで貫いてしまう人間のエゴや欲望を前に、直視できているかと言えば、いかんともしがたいのが正直でして、その点著者は、傷つき傷つかれ、そうした人間の営みを本当の意味で認めているんだな、って感じを受けるんです。

人間のエゴは渇愛です。それを認め、微笑めるのは慈愛です。
僕は、まだ、著者のようにはなれませんね。人生経験が足りないからでしょうか。人間は弱い、だからこそ、強くあらなければという自分の思いを知らず知らずに他者にまで求めてしまっているんです。だから僕は、人間の弱さをまだ完全に直視できずにいる。それは僕のエゴ、渇愛です。

孤独故に、人間は弱いんです。なんだ、僕は、冒頭で否定的なものじゃないとか言っておきながら、心のどこかに孤独を否定的に捉えている部分があるようですね。僕も弱い人間ということですね。

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