素っ気ない態度をとり続ける、僕が純粋だと思っていた青年。

だけど、僕は、彼はそんな人間ではないと思っていたかった。
人を思いやれる優しい心を持っていると思っていたかった。

何故素っ気ない態度をとり続けるのか?
僕にはわからない。理由として考えられるのは、辞めた友人の相談に乗っていたことくらい。

彼が僕のことを嫌っているのかいないのか、そのことはまだ図りきれないでいた。

しかし、仕事中時折向けられる、不穏な眼差しとヒソヒソ声。
だが、僕が話しかけると普通に返してくるので、あの眼差しは、僕の勘ぐりに過ぎないと何度も思いなおした。

しかし、僕は見た。彼は見られていないと思っているだろうが、僕は見た。
僕達は、同じ部署、同じラインで仕事をしている。僕が仕事道具をその青年に渡すために、彼の背中をたたいて渡す。
僕は元の位置に戻って作業を再開しようとして、その前に今一度その青年の方を見た。
そのとき、苦々しげに僕が叩いた背中の部位を、まるでばい菌でも払うかのように叩いている彼の姿を僕は見た。

戦慄と、ショック。
彼はやはり、変わってしまっていた。いや、もとからそうだったのか?僕は彼を見誤っていたのか?

徐々に、怒りと、悲しみがこみ上げてきた。
人間というものの愚かさ、おぞましさ。

ラインの雰囲気を壊さないために、僕は彼と誤解を解こうと努力もしてみたが、もうそれも適うまい。
今後、極力あの青年との接触を避けよう、それが、向こうも望むことであり、ラインの空気をこれいじょう崩さない最善だろう。

辞めていった友人が不憫でならない。彼は悪いことをしていない。悪いことをしていないものが心を壊し、辞めていかなければならない現実。

青年は辞めていった友人にした陰口やうわさ話と同じやり方で
で、悪の連鎖を広めていくだろうか。
僕はラインで孤立することになるかもしれない。

今のラインは、その友人が辞めたときとほぼ同じメンバー。
僕を入れて数人が、新たに入っただけ。
友人が窮地に立ったとき、誰一人として彼に手をさしのべるものはいなく、逆にみんなで友人から遠ざかった。

そして、友人の悪評を広めた、あの青年に疑問を持つ者は誰一人としていなかった。
他人の悪評を平然と口にする者ほど罪深いということに誰も気づかなかったのか。

愚かな人間。度し難い人間。

僕は友人と同じように心を壊し、それ故に会社を辞めてはならない。
それは人間の愚かさに膝を屈することになるからだ。
辞めた友人のためにも、自分のためにも、自分の掲げる人間の理想のためにも、僕はどんなことがあっても、会社に留まるんだ。
辞めるときは、全然違う理由でだ。

強くなければ。明るく振る舞おう。
嫌う奴は嫌え。他人の悪評を鵜呑みにして、僕という人間を評価するのなら評価しろ。僕は間違っていない。何も悪いこともしていない。
僕は自分の存在を卑下する必要はない。落ち込む必要もない。
悪びれる必要もない。

僕は僕だ。

人間の愚かさと、そしてくずれそうな自分の精神への戦いだ。
そして、救えなかった友人への償いのために、僕は明るく平然と抗ってやる!

コメント

はちみつ
はちみつ
2007年2月26日16:51

がんばれ!キタムくん!私もその姿勢、見習います。

キタム
キタム
2007年2月27日13:28

ありがとうございます^^
がんばる、というか、自然体で望みます(笑)

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