DVD ハピネット・ピクチャーズ 2002/12/21 ¥4,935
連合赤軍のリンチ事件を題材にした小説『光の雨』が映画化されることになり、若手キャスト(結木奈江、山本太郎ほか)が集結して撮影に入るが、まもなくして監督(大杉漣)は失踪。彼は赤軍を同時代を生きた男でもあった。代わって、それまでメイキングを回していた新進監督(萩原聖人)がメガホンを取り、撮影は続行される…。
高橋伴明監督が、これだけは撮らないと自分の20世紀は終わらないとの覚悟で取り組んだ社会派青春映画の傑作。立松和平の原作が劇中劇として描かれ、当時の若者たちの思想を理解できず、混乱しながら役を演じていく若手俳優たちのドラマとクロスしていく。理想を追い求めた果てが仲間同士の殺りくであったという痛恨。それは決して過去の出来事理ではなく、閉塞的現代とリンクする歴史的重要な惨劇であったことまで思い知らされる、必見の作品。
僕が生まれる前に起こった、浅間山荘事件は、両親の世代には忘れられない事件であって、僕も何度となく聞かされました。テレビの前に一日中張り付いて観ていたと。
僕はといえば、知っているのは、あの山荘に直撃するクレーンでつるした鉄球・・・。
本作は、その事件の全容を劇中劇という形で描いていますが、観ているうちに、これが劇であることを忘れ、劇中の人物が演技を中断する演技をしている場面で、これは劇中劇だとハッと気づくということがしばしば。それほどに、迫真性に飛んだ演技の中での演技を俳優たちはしています。
閉鎖的思考、閉鎖的空間、閉鎖的集団に陥った人間の狂気たるや、現実であるだけに、バトルロワイヤルなどで感じる以上の恐怖がそこにはあります。
純然たる理想だとしても、客観的な批判の排除された場所では、独善の肥大化や権力の道具に堕する危険性を常に孕んでいるのだということですね。

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