映画 『千と千尋の神隠し』
2006年3月18日 映画〔邦画〕
DVD ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002/07/19 ¥4,935
いやいや、そんなことはあるまい、と僕は思う。客の期待を裏切る演出も、行きつく目的は、客に感動や衝撃を与えることなはずだ。だとしたら、僕としては、やはり初期の頃の宮崎作品を求めてしまうし、監督はナウシカを宗教的になってしまって失敗作と言い放ったけれど、宗教的になろうが、あの感動は素晴らしかったし、見るほうとしてはたくさんのものを感じ取ることが出来たと思う。宮崎監督のメッセージとドラマ性が上手い具合に調和していた。
宮崎監督は晩年の黒澤明のようにはならない様にしないととか言ってたと思うけど、だんだんなってきてるかも。2人とも、はっきりくっきりを好むから、悪いほうに転べば教条的になってしまう。
わがままで無気力、どこにでもいるような現代っ子の千尋は、引越しの途中で、不思議な町に迷い込む。謎の少年ハクに手引きされ、八百万の神様たちが入浴しに来る「油屋(ゆや)」で「千」と呼ばれながら働くことになった千尋。さまざまな体験や冒険をとおして、少女は「生きる力」を取り戻していく…。観客におもねった作品を作ってしまったら監督として終りだ、とかなんとか、宮崎監督はいってたっけ。つまりは、いかに見るほうの期待するものを裏切れるか、ということなのだろうか。僕としては初期の頃の、トトロやナウシカに見られたあの筆舌につくしがたいカタルシスのような感動を求めて宮崎作品に触れるのだけど、もののけ姫以降の作品では、そういった感動を味わえないでいるのは、宮崎監督にしてみれば、してやったり!なんだろうか。
宮崎駿監督が、友人の10歳の少女に見せたいという思いから作り上げたこの『千と千尋の神隠し』。2001年夏に公開されるや、批評家筋からの高い評価と多くの観客からの支持を得て、それまでの国内映画興行記録を全て塗り替える大ヒットとなった。さらに、2002年のベルリン国際映画祭でも、グランプリにあたる「金熊賞」をアニメ作品としてはじめて受賞。全世界で、大きなセンセーションを巻き起こした。
『となりのトトロ』を彷彿とさせる「日本人の原風景」を美しく表現しながら、『もののけ姫』に負けずとも劣らない深いテーマ性を、『魔女の宅急便』のようなわかりやすくケレン味あふれる物語で展開したこの作品は、「硬」と「軟」という宮崎監督の2面性がほどよくミックスされ、宮崎駿作品の集大成と言える出来栄え。さらに、監督本人が「今回は若い人たちに大いに助けてもらった」と語っているように、従来の宮崎作品にはなかった「最近のアニメ」的要素が、脇役キャラの動かし方などの部分に感じられるのも意外な魅力となっている。
単なる一過性のヒットものではなく、長年にわたって称えられ続けるであろう傑作だ。
いやいや、そんなことはあるまい、と僕は思う。客の期待を裏切る演出も、行きつく目的は、客に感動や衝撃を与えることなはずだ。だとしたら、僕としては、やはり初期の頃の宮崎作品を求めてしまうし、監督はナウシカを宗教的になってしまって失敗作と言い放ったけれど、宗教的になろうが、あの感動は素晴らしかったし、見るほうとしてはたくさんのものを感じ取ることが出来たと思う。宮崎監督のメッセージとドラマ性が上手い具合に調和していた。
宮崎監督は晩年の黒澤明のようにはならない様にしないととか言ってたと思うけど、だんだんなってきてるかも。2人とも、はっきりくっきりを好むから、悪いほうに転べば教条的になってしまう。
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