DVD ポニーキャニオン 2005/03/02 ¥2,625
人気作家ポール・オースターが、自身の短編を脚色。監督は香港出身のウェイン・ワン。NYの下町ブルックリンを舞台にした群像ドラマだ。本作の魅力は、ブルックリンの街に限りなくなじんでいる俳優たちだろう。10年以上もの間、毎日、同じ場所にカメラを向けるタバコ屋の店主にハーヴェイ・カイテル。店の常連客で、店主の写真のなかに亡き妻の姿を見つける作家、ウィリアム・ハート。そこにもうひとり、作家を交通事故から助け、父親を探す黒人少年。映画が進むにつれ、3人それぞれの家族関係が浮き彫りにされていく。
ドラマチックな展開が用意されているわけではなく淡々と進む物語だが、その分、要所でドキリとさせる一瞬が訪れる。たとえば、凍死した父を発見する息子が、すでにそこで眠る父の年齢を越えていたというエピソード。また、強気を貫いてきた娘が、両親に背を向けられたときに浮かべる悲痛な表情。そんな心に引っ掛かる映像の数々が、じわじわと感動を高め、締めくくりは、すべての人を優しく包み込むような「いい話」。上質な文学作品の香りが漂う、逸品だ。

僕はハーヴェイ・カイテルが好きなのやね。それもこれも、この作品を見たことから始まったんじゃないかと、今になってみると思うね。
本作は「間」が非常にいいよね。ほんま、日常って感じで、色んなエピソードが連綿と連なって一人の人の人生は作られていくんだろうね。
実は、僕が現実に疲れたとき逃避する場所というか、その世界に没入できるような作品は、とっぴな世界ではなくこういったほかの人たちの日常が描かれたものなんである。他人の幸福の中に、見落としていた自分の生活の幸福を見つけるカギがあるのだと思うのね。

コメント

アンドロメダ
アンドロメダ
2006年1月8日21:50

>他人の幸福の中に、見落としていた自分の生活の幸福を見つけるカギがあるのだと思うのね。

なかなか深い言葉ですね。今日は掲示板に書き込みありがとうございました。
忙しくて作品を書く時間がないようですが短くても、きらりと光る言葉を期待しております。お互いに頑張りましょうね。

キタム
キタム
2006年1月9日2:10

たとえば、他人が喜んでいる事柄が、僕が今まで気がつかなかったことだったら、なにか喜ぶような要素があるかもと、あらためて目を向けるきっかけになるのだと思うんです。

僕が映画を見るのは、ほとんどがそういった動機なんです、実は(笑)
忙しさにも慣れていけば、時間を作る工夫が出来てくると思います。まずは、そうならなければ☆
焦らずに、でも前を向いて進んでいきましょうね^^

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