読書 『海馬/脳は疲れない』
2005年10月31日 読書
ISBN:4255001545 単行本(ソフトカバー) 糸井 重里 朝日出版社 2002/07/10 ¥1,785
「集中力はやりつづけないと生まれない」っていうのはそっかあ、って思ったけど、やりつづけることが難しい。と勉強をしながら思う。
ベストセラー『記憶力を強くする』の著者であり、気鋭の若手脳研究家、池谷と、クリエイターとして豊富な発想のノウハウをもつ糸井。この2人が、頭のよさや脳の使い方などをテーマに、興味深い対話を繰り広げている。昨日、夜にたしか情熱大陸とかいう番組だと思うけど、この本の表紙のイラストを書いている人の特集があった。それで、この本を読んだことを思い出した。僕は脳に、とっても興味があるもので、こういう類の本はよく買うわけだが、この本は、大変簡単だった。というのは、脳関連の本は難しい言葉が多くて、難しいことが多いのだが、この本は、対談で、しかも平易な言葉で脳の仕組みを、それほど深くはないかもしれないけど、イメージしやすく説明してくれていて、なかなか面白かった。眼から鱗の脳味噌知識も結構あって、もっと詳しく知りたいなって思わせてくれる、まあ脳味噌マニアへの入り口にもってこいの本なのかも。別にマニアにはならんでもいいか(笑)でも、脳について、みんな少しは興味持ってると思うし。
たとえば、「『頭がいい』と『バカ』の差」について。2人は、記憶された情報を整理し、お互いを関連づけて、的確に表現できるかどうかや、「頭が真っ白」になるディスコミュニケーションの状態に陥るか否かなどのポイントに着目。最終的に、周囲との関係を遮断し、情報の入力をやめれば脳の働きはよくならないことを指摘している。ここで、自分の頭がどんな状態にあるかをチェックすることも可能である。
また、池谷は「脳は、ぜんぜん疲れない」「30歳以降に、脳の能力は飛躍的に伸びる」といった、脳に関する意外な事実を数多く教えてくれる。とくに記憶のカギを握るという「海馬」の研究の様子が述べられたところは、未知の領域に踏み込んでいくような興奮をもたらしてくれる。一方、そうした脳の科学を、クリエイティブな思考や生き方の問題などに押し広めて論じる糸井の話術はじつに巧みである。その知的好奇心のもち方には、見習うべきところが多い。
タイトルどおり、頭がよくなる可能性が科学的に証明されているほか、「よりよく生きる」ために頭をよくするという志の大きなメッセージが込められている。年齢とともに頭の働きも衰えると思い込み、マイナス思考に陥っているような人に、希望を与えてくれる1冊だ。
「集中力はやりつづけないと生まれない」っていうのはそっかあ、って思ったけど、やりつづけることが難しい。と勉強をしながら思う。
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