DVD ビクターエンタテインメント 1997/07/24 ¥3,990
大洋航海を描いたこのアドベンチャー大作は、1996年に劇場公開された際は正当な評価を受けたとは言えなかった。その理由が、映画のタイトルにもなった嵐のシーンが映画館の大画面では素晴らしいが、家庭のテレビ画面で観ると必然的にインパクトが小さくなってしまうことが原因だとしたら、非常に残念なことである。劇場公開とビデオ発売を同時に行うと興行収入面でも影響を受けてしまうが、リドリー・スコット監督(『ブレードランナー』、『テルマ&ルイーズ』)の手腕により美しく映像化されており、大海原のロマンスや脅威に魅力を感じる人には感動を与える映画である。ハイスクールの学生が最終学年を乗組員の訓練生として過ごす際の、誰もが経験する通過儀礼を描いたアドベンチャー物。熟練航海士の校長(ジェフ・ブリッジズ)が訓練船である帆船アルバトロス号を指揮し、チームワークとメンバー個々の責任を厳しくたたきき込む。南米大陸の先端を回って戻るまでの航海において、若者たちは多くの試練を克服して人格が形成されていき、寄港地での上陸時間中に性的快楽にも目覚めていく。物語としては従来の冒険物を踏襲しており、スコット監督は『いまを生きる』、『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』の帆船バージョンに対して特に目新しさを加えているわけではない。しかし、『白い嵐』は大人への成長を描いたドラマとして優れた手法で撮影され、活力に満ちている。有能な新人俳優たちが配され(テレビドラマ『サンフランシスコの空の下』に出演したスコット・ウルフなど)、彼らがこのスリルに満ちあふれ、人生の転機となった冒険のドラマで重要な役割を果たしている。大学時代、友人等と徹夜耐久映画鑑賞会というものを開いた時に、友人の強い勧めで見た映画ではあるが、そのとき僕はさして強い印象を持たなかったことを当の友人にはついにいえずじまいであったのは、その友人の美しい思い出を僕の「それほどでもない」といった一言で汚してしまいたくはなかったからなのだけど、その理由として、クライマックスの分散、一度高まったところからもう一度弛緩される場面が、僕には冗長に感じて、演出的に引っかかってしまったのであった。
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