ISBN:4167111020 文庫 井上 ひさし 文芸春秋 1974/01 ¥410
この一冊に収められた「四十一番の少年」「汚点」「あくる朝の蝉」の三作品は、井上ひさしの自伝的要素の濃い小説である。一家が離散し、仙台にあるカトリック系養護施設に入れられた少年時代の体験にもとづき、少年の持つ夢の切実さを描いた。いつも笑わせている著者の反面を見せて、ジーンと感動させる。
井上ひさしといえばひょっこりひょうたん島だが、そういった夢や、喜劇の根底に、生い立ちのリアルな悲劇が潜んでいるのだろうと思う。日常の何気ない滑稽さにも、そこにはそれを生じさせたリアルな現実、もしくは悲しみが起因していたりするのだ。だからこそ、人は、笑いを求め、夢を見るのだと思う。

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