ISBN:4102130063 文庫 William Somerset Maugham 新潮社 1960/07 ¥420
メアリイの男に対する、優越心が、侮辱を慈悲という幻で覆い、メアリイ自身、自分の心にだまされた。女ごころ、というよりも人間の心に一般に見られる傾向のようにも思うけれども。
大恋愛の末結婚した夫を自動車事故で亡くしてしまった若く美貌の誉れ高い未亡人メアリイ・パントンは、12年も彼女を待ちつづけ、ベンガルの知事になろうとしている求婚者にその心を許すかに思われたが、、そこに一つの事件が……。“女ごころ”の意外な動きを、一人の美しい女性と彼女をめぐる3人の男性という巧妙な構成の中に描き出す、作者モームの女性像を浮彫りにした作品。相手の気持ちを推し量ることができずに、慈悲の心を持つと、こういった結果になったりもする。ああいった行為が施しであるはずもなく、逆に男にとっては侮辱である。真剣であればあるほどに。
メアリイの男に対する、優越心が、侮辱を慈悲という幻で覆い、メアリイ自身、自分の心にだまされた。女ごころ、というよりも人間の心に一般に見られる傾向のようにも思うけれども。
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