DVD バンダイビジュアル 1999/04/25 ¥5,250
北野監督の第二作。ふとしたことから暴力団と対立することになった草野球チームの面々が、武器を求めて沖縄に飛び、出会ったやくざ(たけし)の不気味な暴力性に惹かれていく。全体的なシークエンスの繋ぎにやや難があるものの、存在感ある登場人物の意表を突く行動がもたらす映画的快感がたまらない。
武の作品で一番印象に残るものをあげるとしたら、この作品。
武が好き勝手やってる。もちろんいい意味で。武の創造性をいかんなく発揮している。映画の基礎教養がないからこそ、それが新しい個性の源泉になって、映画の不文律を冒すパワーを秘めている。そう思う。武は実は、「認められたい」人なんじゃないかと最近思うことがある。
だから、認められだして、客への媚びが見え出した。それ以後の作品はどうも好きになれない。「菊次郎の夏」のヴェネチア(だったかな?)でも上映後、万感の拍手でタクシーに乗った武は一言、「今回もうまくいったな」と言った。
その言葉を聞いてなんだかさびしくなった。武は、客に受けるだろうことを前提に映画を作り出したのか。。。そう思えてしまった。
認められてなくて、好き勝手作ってる武は、ひねくれていたかもしれないけど、パワーがあった。印象があった。
有名になって、武は必死に映画の勉強を始めたけど、すればするほど、彼独特の雰囲気が損なわれているように感じてならない。急場しのぎの勉強じゃ、昔からやってきたプロフェッショナルな監督たちに適うはずはない。武はそういう専門的な枠の外で培ってきた表現が評価されたわけだから、自分の作品を深めていくのに、もっと違ったアプローチの仕方があったはずだ。異端児と呼ばれたものが、だんだんと規制の枠に落ち着いていくように、ジャームッシュのように、武もだんだん凡庸な監督になってしまうのではないかと危惧している。

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