ISBN:4167651386 文庫 山田 和 文芸春秋 2004/01 ¥690
インドの寂れた本屋で出会った「日本体験記」
インド人エリートビジネスマンが日本での赴任経験を語った体験記。90年代に日本が喪ったものを、鋭い観察力で描いた出色の日本人論。

目次
占星術で出発日を決める
インド国営航空の「牛肉」
システムが私を迎えた
信頼が先行する国
日本料理ほど素敵なショーはない
佐藤氏のインド体験
豪邸か召使い部屋か
刺し身パックという「海の豊饒」
パンツ以外は脱ぐ日本のパーティー
食のカースト〔ほか〕
 文化的にまったく異質な国からの視点というのは、相似た国同士の文化論よりも、より自国の社会的、または文化的な特徴を浮彫りにすると思う。
僕はこういった本が好きでよく読むけれど、今まで読んだ中でもかなり面白いほうだった。あまりにも日本への描写が精緻なことから、実は、これはフィクションで、著者は実は訳者なのではないかとの指摘もあるようだけど、まさかあ、そんなことはないでしょ。僕の希望的観測。だって、この本の中でマスコミのヤラセを嘆いているってのに、そんなことせんでしょうに。ただ、訳者が原文を訳すときに、自分の解釈なりを加えて、内容に厚みを増してることは考えられると思うけど。
日本についての新たな発見もさることながら、インドの事情もよくわかる。特にカーストという制度がもたらしている価値観は、日本の価値観と余りにも違いすぎて、まず日本人には受け入れがたいものだろう。
三島由紀夫の自決が、「人間性の平等」に対する執着ゆえ、兵役を逃れたという過去からの自己回復であったとするのは、ひとつの解釈として、非常に興味深かった。
たくさん印象に残った紹介したい文章があるのだけれど、いくら私的日記とはいえど、一、二文ならともかく、それをそのまま膨大な量紹介してしまっていいのかどうかに疑問が沸いて不安になってきたので、割愛。

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