ISBN:4102100040 文庫 福田 恒存 新潮社 1966/06 ¥420
やせこけた老人。その名はサンチャゴ。しかし、海の男である彼には、不屈の闘志があった。ひとり、小舟で沖に出て1週間、つにに遭遇した巨大な、かじきまぐろ。綱を操り続け、大魚と格闘する日が続く。殺すか殺されるか―。だが、いつしか彼の心には、大魚への熱い友情が生まれていた…。アメリカの文豪、ヘミングウェイが、大自然の中で生き抜く男の、勇敢さとロマンを描き上げた不朽の名作。

ある意味で、老人の根性・意地。またある意味で、虚栄心や矜持。そしてもしかして、老人は自分の肉体に対する変化を受け入れたくないと保守的に意固地になっているのかもしれない。そんな老人に、自然は変化を受け入れろと激しく、そしてやさしく諭しているかのようだ。しかし、その老人の矜持・情熱、それらは、変化に抗えない肉体とは違い若かりし日の姿のままでいられる。本人が望むなら。
カジキマグロの肉体は、食べられ、変化してしまった。そうなることに老人は抗えなかった。しかし、骨は残った。それは、老人が戦い勝ち取ったものといえないか。あたかも老人の精神の芯のように、マグロは肉体が朽ちても骨(芯)は残ったのだ。そしてそれは、肉体はなくとも、カジキマグロの存在を他のものに示した。同時にその骨は、老人の心の強さも、若かりし日のままであると、他のものに示していたのかもしれない。

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