読書 『目覚めよと人魚は歌う』
2005年5月17日 読書〔小説・詩〕
ISBN:4101164517 文庫 星野 智幸 新潮社 2004/10 ¥340
これって、ほんの三日間の間の話だったんだね。読んでる間は、何週間も滞在しているように感じたんだけれど。擬似家族、かあ。ほんとにこういう関係性の中にある人たちっているんだろうかなあ。
ごく理性的なことを言ってしまうなら、糖子も大人でありながらやはり覚悟が足りなかったということなんだろう。つまり、ヒヨヒトとアナを子供だと思う糖子もまた、自分を包んでくれる大人を求めている一人の子供で、子供である糖子が子供を持ったところで親にはなりきれなかった。それを自覚しながらも夫であり、自分の理解者(親)でもあった密夫の影にすがりながら、擬似的な家族、亡霊の日常の中で、自らも亡霊となり、思い出に逃げ込み生きていることをやめられずにいる。
ヒヨヒトとアナはその場に足を踏む入れた。彼らもまた隔離された日常を送り自分を亡霊とする三日間、しかし、ヒヨヒトとアナは抜け出した。抜け出さなければならないと気づいたからだ。
「外と切れている糖子に、せめてその切れた傷口は外の風に吹きさらされると激しく痛むことを、知らしめたかったからだ」
ヒヨヒトが、わざと傷を刺激することによって、糖子に傷を自覚させ、いつまでも思い出に浸ってるだけじゃなく、踏み出さなければいけないよ、と言っているように感じた。
女は壊れた愛の記憶にとり憑かれ、亡霊のように息を潜めていた。男は日系ペルー人の宿命に翻弄され、ぎりぎりまで追い詰められていた。居場所のない魂が出逢い、触れ合った世界の果ての3日間。第13回三島由紀夫賞受賞。
これって、ほんの三日間の間の話だったんだね。読んでる間は、何週間も滞在しているように感じたんだけれど。擬似家族、かあ。ほんとにこういう関係性の中にある人たちっているんだろうかなあ。
ごく理性的なことを言ってしまうなら、糖子も大人でありながらやはり覚悟が足りなかったということなんだろう。つまり、ヒヨヒトとアナを子供だと思う糖子もまた、自分を包んでくれる大人を求めている一人の子供で、子供である糖子が子供を持ったところで親にはなりきれなかった。それを自覚しながらも夫であり、自分の理解者(親)でもあった密夫の影にすがりながら、擬似的な家族、亡霊の日常の中で、自らも亡霊となり、思い出に逃げ込み生きていることをやめられずにいる。
ヒヨヒトとアナはその場に足を踏む入れた。彼らもまた隔離された日常を送り自分を亡霊とする三日間、しかし、ヒヨヒトとアナは抜け出した。抜け出さなければならないと気づいたからだ。
「外と切れている糖子に、せめてその切れた傷口は外の風に吹きさらされると激しく痛むことを、知らしめたかったからだ」
ヒヨヒトが、わざと傷を刺激することによって、糖子に傷を自覚させ、いつまでも思い出に浸ってるだけじゃなく、踏み出さなければいけないよ、と言っているように感じた。
コメント