DVD 東映 2002/07/21 ¥4,725
まあ、つまり、三國連太郎が良すぎる。ラストがいかにも日本的。自分なりのけじめだったんだろうかなあ。
1946年、青函連絡船が嵐で沈没し、乗客の遺体が収容される。しかし、その数が名簿よりも多い。ベテラン刑事の弓坂(伴淳三郎)は、転覆のどさくさで起きた殺人事件と睨み、執念の捜査を続けていく。そして10年後、犯人(三國連太郎)は事件当時の彼を知る遊女(左幸子)と偶然再会してしまった…。過去の罪が桎梏となり男を苦しめ、その恐れから新たな罪を犯してしまう。たとえ、罪がばれなくても自分は自分の犯した罪を知っている。神や仏が自分の心の中にいるのなら、その罪から逃れることは不可能だ。いくら成功をつかもうともその者は生きながら地獄をさまよい、心休まらないだろう。
水上勉の同名小説を原作に、巨匠・内田吐夢監督が人間の内に潜む心の闇をスリラー仕立てで見事に描ききった、堂々3時間におよぶ傑作超大作で、そこには自身の人生観も多分に反映されている。
また、16ミリで撮影したモノクロ・フィルムを35ミリにブローアップするなどの特殊な技術処理をも駆使して、戦後・日本の心の飢餓状態を浮き彫りにしていくという壮大な実験作でもあり、一方では日本映画史上のベスト・テンを選ぶ際、黒澤、溝口、小津、成瀬作品などと並び、必ずベスト・テン入りする名作中の名作でもあるのだ。
まあ、つまり、三國連太郎が良すぎる。ラストがいかにも日本的。自分なりのけじめだったんだろうかなあ。
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