数年前は、テニス人気に陰りが見えてた。それは、個性のある選手が出てこなかったということも一つにはあるのだけども、テニス自体がパワー化スピード化して、サービスエースとか、一本でポイントが決まるケースが各段に増えたことによるのだと思う。ウィンブルドンなんか最たるもので、球足が早いからほんとにサービスエースのオンパレードで、最も権威があるがもっともつまらない大会となっていた。さて、テニス協会も一計を案じ、ボールの圧力を弱めて、ボールが飛びにくくしたりした。でも、それなのに、日々テニスのスピードは速くなっていく。しかし、不思議なことに、最近のテニスは再び面白くなってきている。サービスはどんどん早くなり、今や200キロオーバーのサーブ打つ選手なんてごまんといるってのに、ラリーが続くようになっていってるのである。ポイント間の時間がまた若干長くなってきているように感じるのは僕だけだろうか?
テニスがつまらないといわれていた時代の選手は、ビックサーブを武器にサーブアンドボレー主体が結構いた。しかし、女子がパワー化して現在そのパワーに合わせた選手が出てきているように、サービスやストロークのスピード化にあわせてそれにや対応した選手が育ってきた。つまり、サーブが早くなると共に、リターン力も各段に進歩してきているわけだ。現に、今の選手はリターンの技術が総じて高いため、サーブアンドボレーというプレースタイルが廃れてきている。トップの中にも、ヘンマン以外にサーブアンドボレーを主体とする選手は見当たらない。現在のテニスは、まさに何でもこなせるオールラウンダーでなければ勝てなくなっている。サーブアンドボレーの時代のあと、少しスピン全盛の時期があったが、今は攻撃の展開が各段に早くなってきて、トップスピナーもその戦術を変えざるを得なくなってしまった。サンプラスは伝説のサーブアンドボレーヤーだが、フェデラーは伝説のオールラウンドプレイヤーと近い将来呼ばれることになるに違いない。とにかく、スピード化パワー化に対応できる世代が育ってきた現代のテニスは、再び見ていて面白いものになってきている。

R・フェデラー vs A・アガシ(男子シングルス準々決勝)
去年のUSオープンで唯一フェデラーを苦しめたアガシ。僕は今のアガシは若い頃より、アグレッシブになっていて、円熟味も増し、強くなっていると思う。これは、90年代初頭のアガシのプレーと今を見比べてみれば一目瞭然である。これは、つまり、そうならなければ生き残ってこれなかったわけで、今のパワースピードテニス時代にあうように自分のプレースタイルを変化させてきたアガシは変化させることが出来るという面においてもまた一流なのである。でも、昔のようにアガシの強打が他に抜きん出ているという感じは受けず、今やアガシは、試合巧者といった位置付けになっているのは、それ自体が、現代テニスのパワー化の証左となっているわけである。
さて、僕はフェデラーを倒す可能性があるとすれば、アガシが一番可能性でかいだろうなって思ってるわけだけど、それはなんとなれば、メンタルが強いということなのである。ショットはアガシは強打ってよりもテンポの速さとタイミングの妙であり、そこにアガシが今日でも生き残っていられる鍵がある。少なくとも接戦になるだろうと僕は予想した。
しかしである、アガシは1ゲームもブレイクすることが出来ずに、ストレートでフェデラーに蹴散らされてしまった。フェデラーの強さはやはり桁外れというほかない。アガシをしてこのスコアであればいったい誰がフェデラーを倒せるというのか。アガシのうまさやテンポの上を行っていたフェデラー。記者会見ではアガシはフェデラーをべた褒めするしかなかった。アガシはサンプラスと現役を渡り歩き、サンプラスの凄さを十分知っているその彼が絶賛するに吝かでないフェデラーという人物は、つまり、アガシにとってサンプラスと同じ位置か、もしくはそれ以上の位置をしめているのだといってもいいすぎではないのじゃないかいな。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索