ISBN:4167653036 文庫 町田 康 文藝春秋 2004/04/07 ¥450
でも実は、僕の思考と似てるところがあって、結構、町田康の文体は僕に合う。
一貫して退廃的な人生を描き続けるのは、作者本人の憧憬からか。
デカダンを気取ったところで何もないことを知りつつもなぜ人間は憧れるのか。人間の本質は怠惰そのものであるということを諦観を交え描きつつ、しかしながら、作者の嘆きもその背後に感じられぬでもない。
「きれぎれ」はともかく、「人生の聖」は、ほんとに薬やりながら書いたんちゃうけ?
「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。親のすねをかじりながら無為の日々を送っていた「俺」はかつて、ともに芸術家を志し、その才能を軽視していた友人が画家として成功したことを知る。しかも、美貌と評判高い彼の妻は、「俺」が見合いをして断った女だという。よじれて歪んだ心が生むイメージが暴走した果てに「俺」が見たものは…。母いわく、ラリッた状態で書いたような文体。
著者は、パンク歌手であり詩人であり俳優であるという異色作家。『夫婦茶碗』 『へらへらぼっちゃん』など、独特のビート感あふれる作品を意欲的に発表し、個性派作家として注目を浴びている。若い世代を中心に「ストリート系」、「J文学」などともてはやされる一方で、ナンセンスなストーリー展開やメッセージ性の希薄さなどから「キワモノ」であるという冷ややかな評価も受けていた。ところが、一見、一貫性を欠いているようにも思われる言葉の連射の間隙に、透明感を与えることに成功した本作で芥川賞を受賞したことで評価は一変し、純文学の新たな地平を開く作家としての栄誉を得た。好悪の分かれる作家ではあるが、繰り出される言葉のリズムに身をまかせて一種のカタルシスを得ることができるか、違和感を抱くか、それは作品に触れて確かめてほしい。
でも実は、僕の思考と似てるところがあって、結構、町田康の文体は僕に合う。
一貫して退廃的な人生を描き続けるのは、作者本人の憧憬からか。
デカダンを気取ったところで何もないことを知りつつもなぜ人間は憧れるのか。人間の本質は怠惰そのものであるということを諦観を交え描きつつ、しかしながら、作者の嘆きもその背後に感じられぬでもない。
「きれぎれ」はともかく、「人生の聖」は、ほんとに薬やりながら書いたんちゃうけ?
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