DVD ジェネオン エンタテインメント 2004/03/21 ¥3,990
見ている間、失笑混じりな賛嘆が何度ももれた。
イギリス人夫婦(グラント、スコット=トーマス)が豪華客船上で知り合った奇怪な夫婦=車椅子の作家(コヨーテ)と美貌の若者(セイナー=監督婦人)。作家が語る異常な夫婦関係の物語。作家夫妻にイギリス人夫婦は翻弄されていく。恋愛に始まった男女の関係が性関係の破綻を通じて精神的なSM関係に至る、凄まじい夫婦の葛藤劇が綴られるが、ポランスキーの語り口は実にスリリングで最後まで飽きさせない。傑作。出てくる老作家は監督自身の投影だろうか?老作家の妻に自分の妻を用いていることからもそんな感じがするのだけれど。何より、現実生活でもいわくつきのポランスキー。彼の内面にあるものを映画化したのがこの作品なら、少女買春(レイプだったかな?)したのも、愛ゆえなのだろうか。なんとなく、自己弁護的な作品とも取れるけど、こういう愛の形もあるんだよと作家自身渾身の作品であることは間違いないだろう。アメリカに入ると逮捕されちゃうから、アカデミー賞も受け取れなかったポランスキーは、犯罪者でもあり、芸術家である。そもそも芸術とは、犯罪的である、といわんばかりの私小説的映画。憎しみと、愛情は本来同じものであるというとうことがこの作品を見ると完全に理解できる。
見ている間、失笑混じりな賛嘆が何度ももれた。
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