読書 『シドニー! (ワラビー熱血篇)』
2004年10月30日 読書
ISBN:4167502062 文庫 村上 春樹 文芸春秋 2004/07 ¥470
彼の自分の興味以外のことに対する徹底的な懐疑志向は、作家として致命的な気もしなくはないけれど、それがまた他の作家と違った個性となりえてるのかも知れず、それがまた彼の人気の秘密なのであるのかもしれないとも思う。
この本に関しては、まあ、オリンピックに対しての僕との姿勢は違うわけだけど、ひとつ、とても、興味深いというか、共感というか、納得というか、こういう表現もあるなあと思った言葉があった。
「そこにあるのは、とてもとてもクオリティーの高い退屈さです。しかしどんなにクオリティーが高くても、本質が退屈であることに変わりはありません」
つまり、オリンピックにしても、そういった行為がなくても、人間の生活には、まったく困らない。しかし、
「ある種の純粋な感動は、限りない退屈さの連続の中からこそ―麻痺性の中からこそ―生まれてくる」。
彼の言葉を借りれば、こうも言えるだろう。
人間の営みは、退屈の積み重ねだ。もしそれらの退屈がなければ、人生はとてもつまらないものになってしまうだろう。と。
村上春樹の極私的オリンピック体験僕は村上春樹の作品をほとんど読んではいるけれど、特別好き、とか、はたまた嫌いとか、特に何といった感情を持っているわけではない。たまたま、僕の人生観を変えた一冊に彼の短編(沈黙)が含まれていたのと、たまたま、最初に本を読み出した作家が彼だったということから、いわば習性的に、彼の本が出たら読んでしまうのだ。
2000年、シドニーの23日間。初めてのダウンアンダー(南半球)、アスリートたちとともに<走る作家>は何を見、どう語るか?
彼の自分の興味以外のことに対する徹底的な懐疑志向は、作家として致命的な気もしなくはないけれど、それがまた他の作家と違った個性となりえてるのかも知れず、それがまた彼の人気の秘密なのであるのかもしれないとも思う。
この本に関しては、まあ、オリンピックに対しての僕との姿勢は違うわけだけど、ひとつ、とても、興味深いというか、共感というか、納得というか、こういう表現もあるなあと思った言葉があった。
「そこにあるのは、とてもとてもクオリティーの高い退屈さです。しかしどんなにクオリティーが高くても、本質が退屈であることに変わりはありません」
つまり、オリンピックにしても、そういった行為がなくても、人間の生活には、まったく困らない。しかし、
「ある種の純粋な感動は、限りない退屈さの連続の中からこそ―麻痺性の中からこそ―生まれてくる」。
彼の言葉を借りれば、こうも言えるだろう。
人間の営みは、退屈の積み重ねだ。もしそれらの退屈がなければ、人生はとてもつまらないものになってしまうだろう。と。
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