ISBN:4334032699 新書 谷川 正己 光文社 2004/09/18 ¥756
20世紀の巨匠が日本で得た重要なヒント。新事実から発想の源に迫る!
人間性を第一主義と考え、自然との融和を図ろうというライトの嗜好は先見性のある、正に今日的問題の先取りであったのだが、その先見性故に、彼は主流の座に就くことが出来なかったというべきか。自然との融和、人間性に立脚した建築豊かさの追求などといった彼の主張の中に、日本乃至は東洋を連想させるものがある。彼は日本に何を求め、何を得たのか−−。今まで論じられることのなかったライトの素顔に迫る。

著者は1930年生まれ。大阪工業大学工学部建築学科卒業。元日本大学工学部教授。工学博士。2000年、谷川正己フランク・ロイド・ライト研究室設立、主宰。1998年「Frank Lloyd Wright研究に関する一連の業績」で日本建築学会賞受賞。著書に『フランク・ロイド・ライト』、『ライトと日本』『タリアセンへの道』など。訳書に『ライトの遺言』、『ライト建築論』などがある。
日本木造建築と、西洋の石積式建築には決定的な違いがある。それは、極端に言えば壁があるかないかである。石を積み上げることで外壁を作っていく西欧建築は、完全な外界との切断であり、窓がなければ、殺風景極まりないので、必然的に、絵画を書けたり部屋の中を華やげる様々な工夫が凝らされる。一方、日本の建築は、支えとなる柱さえあれば壁を作る必要はないといっても過言ではない。日本建築を見てみればわかるが、柱以外は、ほとんど襖といっていい。壁に絵画を書けるスペースも床の間をのければ皆無に等しい。しかし、日本建築は、絵画をかける必要がなかった。それはひとたび襖をあければ、そこに雄大な自然の景色という絵画が現出するからである。
日本建築は、まさに、建築会の世界的巨匠の考える、自然との融和を果たした有機的建築を具現していた。
そして、ライトは、その精神を浮世絵の絵によって発見し、虜になった。
これはそんなライトの浮世絵収集家としての面にスポットを当てた著書である。
ライトは、浮世絵によって、日本建築と自分の建築の有機的結合を果たしたんだなあ。

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