VHS 松竹 1996/11/20 ¥3,990
北京の乾井街。スターリンの死を報じる53年に図書館司書と結婚した女性(リービン)とその息子が、文化革命期の66年に紅衛兵に袋叩きにされるまでの半生を綴る。清風運動で右派のレッテルを張られた夫は強制キャンプで事故死、密告者の同僚と所帯をもったのも束の間2番目の夫は病死、子供のために党幹部と結婚するものの、またもや政治の波に翻弄される。市井の側から中国現代史を浮かび上がらせた作品だが、情に淫しない簡潔な描写の中に、母子の揺るぎない愛情を見事にとらえた一編。
政治というものが、どのようなパワーをもち、民衆の間にどれほどの影響を与えるものなのか、人生にいかに関与するものなのか、今の日本に住んでいると、なかなか実感できないことも、この映画を見ればわかってくるだろう。国家体制の変換に伴い、その家族の運命も一変する。これは列記とした事実であり、悲しくも政治の力なのだ。
中国の革命を民衆の側から描いているからこそ、わかりづらいその激動のさまも一般レベルでよく理解できる。
この作品に描かれた家族がたどったような悲哀は、けして少なくはないはずだ。
傑作、大傑作だと思う。

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