DVD ポニーキャニオン 1999/12/17 ¥3,990
この映画で、主演のM・ロネが体現する虚無を親しく思うティーンエイジャーがいたら、少し時期尚早だと言おう。ただ、彼の歳に近づけば、なんらネガティヴな理由なく(アル中になって療養所から出たばかりという負の要素も抱えてはいるが)、何もなすべきことがない(見つからない)という不安から死にゆこうとするブルジョワ青年の彼を、あながち贅沢だと否定もできないだろう。人間、30にもなれば人生が見えてきてしまう。そんな苦渋が、この、自殺志願者の最後の二日間を痛々しくスケッチする作品には溢れていた。ラスト、拳銃と戯れながら、残りの人生の可能性を模索するかのように、ぼんやり思案にくれる青年。しかし、解答はもう出ているのだ……。彼の魂の彷徨にぴったり寄り添うように流れるエリック・サティの『ジムノペディ』が、ささやかに、しかし、雄弁にその心情を語っていた。ああ、この年にして、主人公の気持ちが幾ばくかでもわかる気がするっていうのはやっぱりやばいことなのかしらん。このアンニュイな雰囲気と苦悩が、たまらない。ああたまらない。
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