ISBN:4003360168 文庫 藤沢 令夫 岩波書店 1994/10 ¥525
「徳は教えられうるか」というメノンの問いは、ソクラテスによって、その前に把握されるべき「徳とはそもそも何であるか」という問いに置きかえられ、「徳」の定義への試みがはじまる。「哲人政治家の教育」という、主著『国家』の中心テーゼであり、プラトンが生涯をかけて追求した実践的課題につながる重要な短篇。
徳への定義を明確に示さない限り、徳は教えられ得るか?という問いに正確に答えることはできないといっときながら、この本では、徳がそもそもなんであるかについて明らかにされない。おそらく「国家」で明らかにされるのかなあ?
でも、解説を読んで、この本の裏に含意されているプラトンの意図に気づかされ、驚いた。それが正しい解釈であるかどうかは別として、この本で、プラトンがといている「徳は教えられ得るものではなく、神から授けられるものである」という仮説は、徳をもしも教えられる人がいるならば、その人こそが本当の知者であり、よって徳は教えれ得るということを逆説的に説いているということなのだ。そしてその人物こそソクラテスなのだと。

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