DVD 東映ビデオ 2002/11/21 ¥6,300
鋳物工場の経営者・中島(三船敏郎)は、あるときから原水爆に異様な関心を示すようになり、全財産を処分して家族全員でブラジルへの移住を企てるが、反対する家族の者たちは裁判所に彼を準禁治産者とする申請を申し立てる。やがて申請は承認され、そのショックと疲労などで中島は狂乱の行動に出てしまう…。
彼が狂っているのか、水爆をもつ現代社会が狂っているのかを厳しく問いかける、黒澤明の社会派メッセージ映画。三船は頭を白く染めて、初の老人役を熱演。また、本作は初期黒澤映画になくてはならない名作曲家・早坂文雄の遺作ともなったが、そもそもこの企画は、ビキニ環礁での水爆実験のニュースを聞いた早坂が、黒澤に「こう生命をおびやかされては仕事ができないねえ」と何げなく語った言葉がきっかけとなって生み出されたものであった。
大学時代、三船敏郎をこよなく尊敬していた友達が、三船敏郎が老人の役を演じている映画があるといっていたが、これがその作品。黒澤の反核のメッセージがかなり色濃く出ている。「八月の狂詩曲」が同じ題材を扱ってる。出来はこっちのほうが圧倒的にいいのだけれど。
つまりはこの世代の人にとっていかに核が恐怖を与えたのかって影響力なんだけど、やっぱりその恐怖たるやはたから見るときちがい沙汰に見えるほどなんだってことを通して反核を訴えているんだわね。
異論はあると思うけれど僕は黒澤作品の中でもかなり上位にくる出来だと思う。特にラストなんて、ものすごくすばらしいと思うわけ。

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