映画 『アンジェラの灰 』
2004年6月7日 映画〔洋画〕
DVD ジェネオン エンタテインメント 2001/04/27 ¥4,935
ニューヨークから祖国に戻ったアイルランド移民の一家の運命を、長男フランクの視点で見つめるヒューマンな感動作。信仰心は篤いが、酒好きで仕事もままならない父、生まれた子どもを次々と亡くし苦悩する母。そんななか、フランクら兄弟は精一杯、明るく生きていく。やがて、彼はひとり、アメリカへ行こうと決意するが…。純文学的作品。アイルランドでの耐乏生活は、臭ってきそう、トイレがなかったんだね。父親の姿に、愛情はあれど、どうしようもない脆さ弱さが、怒りよりもむしろ人間への哀れさ、悲しさの情を起こさせる。自制心というのは、何よりも巨大な敵であるのかも。でも、民衆の力強さ、貧困に負けないハングリーなパワーみたいなものもまた感じて、うらやましくもあったりする。この時代のアメリカって今より何より、自由の象徴だったのだろうかなあ。
毎日の食べ物にも事欠き、とことん貧しい生活は悲惨だが、アラン・パーカー監督はユーモラスなエピソードも交え、軽快な音楽を使って展開。長尺で、ともすれば陰鬱になりかねない物語も、だれることなく進んでいく。フランク役を年齢に合わせて3人の子役が演じ分けるが、3人とも驚くほどに自然な演技を披露。彼の視点となって人生の切なさや、ささやかな喜びを共感できるのだ。ふだんは意地の悪い叔母が洋服を買ってくれる話など、さり気ないが効果的な感動シーンが随所に織りこまれている。
コメント