DVD 東宝ビデオ 2002/11/21 ¥6,300
江戸時代末期、エリート青年医師・保本登(加山雄三)は心ならずも貧民たちの施設・小石川療養所に配属される。しかし、そこで出会った「赤ひげ」の異名をとるベテラン医師・新出去定(三船敏郎)に感化され、真の人間愛にめざめていく。ドストエフスキーの小説(確か「虐げられた人々」)のエピソードが丸々使われている部分があるので、思わずにやりとしてしまった。黒澤のヒューマニズムって、ドストエフスキーから形成されていったのかなあ。とにかく、ドストエフスキーが黒澤の精神形成に大きく関与していることは間違いないね。黒澤の集大成として名高いけれと、個人的には少しまとまりすぎて大作なのにこじんまりとしてしまった感がある。ラストがあまりにも、常道をいってるので物足りなく感じてしまうのかもしれない。それにしても、黒沢と三船のコンビ最後の作品。この後カラーになってどうして三船が出なくなったのか、興味がある。自分のプロダクション立ち上げたからかなあ。最近ドラマ化されたけど、それは未見。
山本周五郎の名作を黒澤明監督が2年の歳月をかけて映画化した超大作で、黒澤ヒューマニズム映画の頂点ともいえる名作。貧困にあえぐ人々のさまざまなエピソードから、逆に人間の尊厳が醸し出され、強い希望をもって生き続けていくことの大切さなどが、パワフルな説得力を伴って描かれていく。三船敏郎は本作でヴェネツィア国際映画祭主演男優賞を獲得したが、同時にこれが黒澤映画最後の出演作となる。それはまた、黒澤映画の転換をも促すことにもつながっていった。
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