DVD バンダイビジュアル 2001/07/25 ¥5,040
押井守が『Ghost in the Shell/攻殻機動隊』以来の沈黙を破って監督した実写映画。全編をポーランドでロケーション撮影し、それをデジタル画像処理システム・ドミノで加工。現実世界と仮想空間を描写してみせた、実験的な意欲作。
非合法の仮想戦闘体感ゲーム「Avalon」の蔓延する、荒れ果てた近未来。かつての仲間だったスタンナからフィールド・クラスAに現れるという隠れキャラ・ゴーストの存在を知るアッシュ。ゴーストこそが、獲得できる経験値も法外なクラスSAに通じるゲートだというが、ゴーストを追った者は例外なくロストしてしまう…。 そもそもは仕事がない時期、ゲームに明け暮れていた押井監督が「パチンコで金は稼げるのに、なんでゲームは稼げないのだろう?」と考え、ゲーム・プレイヤーを主人公にした映画を構想したことがきっかけで誕生した作品。「デジタルの地平で、すべての映画はアニメになる」とは、この作品を象徴する押井監督の言葉。
少なくとも、押井守の実写作品の中では一番良い出来だと思う。間違えてはならないのは、押井は、アニメの巨匠であって、実写の巨匠ではないということ。実写の製作演出に当たって、押井は経験を培ってきたわけでいない。1人の映画青年的な視点での製作にとどまっているのではないだろうか。アニメ的な演出を実写に用いたところで、うまくいくものではないことは押井も重々承知しているだろうが、押井がアニメ的な演出技術しか、手段を持っていないのであれば、いくらそれを排除しようとしたところで、無意識的にもアニメ的な見せ方に傾いてしまうところは否めない。だから、押井の実写に対して、彼のアニメと同等の期待を持って評価するのは酷というものである。今の時点では、我々が持つべき押井の実写に対する姿勢は成長を期待する親のそれであるに留めて置くべきではないか。もし、現時点の彼の実写を評価するのなら、僕は技術的演出的なものではなく、ストーリーに対する彼の思想のみを対象としたい。一作ごとに成長の兆しは感じられるのだから、その技術においてアニメからひとり立ちする可能性は充分にあるはずだ。

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