映画 『アンドレイ・ルブリョフ』
2004年5月23日 映画〔洋画〕
DVD アイ・ヴィー・シー 1998/10/25 ¥4,725
ロシア映画というのは沈うつな雰囲気を漂わせた作品が多い。それはロシアという国が負ってきた歴史の重さが作り出す風土にによるところが大きいと思う。ロシアに華やかなりしルネサンスはなかった。かわりにその鬱屈した精神が偉大な芸術の源泉となったのだ。ルブリョフのあたかも苦行のごとき生涯は、観る者にもまた苦行を強いるが、最後に鮮やかに映し出される彼の作品を前に我々は、旋律と共に歴史というものの永続性を再認識するのである。
アンドレイ・タルコフスキー監督による1966年の名作で、15世紀にロシアが生んだ不世出のイコン(聖像画)画家を描いた映画の完全版が遂にリリースされた(旧ソ連により公開を差し止められ、1971年まで日の目をみなかった)。『アンドレイ・ルブリョフ』は、傍観者として単に歴史を記録したものではなく、その中に身を置いた芸術家の責任をとことんまで突き詰め、さまざまな要素を絡めた物語に仕上がっている。ロシア映画の象徴的作品であり、美しく叙情的な白黒映像により調和と情感を描き出している。既に故人となった監督は追加で収められたインタビューの中で、それぞれの時代を生きる人々は、必ず自分自身の人生と向き合わなければならない、過去の出来事を単純に受け入れてはいけない、と語っている。Criterion Collectionシリーズには、本編のほかに多くの付録映像が含まれている。「努力すれば報われる」を実感する作品。選ぶとすれば、僕にとって間違いなく10指に含まれる。その大胆な歴史解釈がソ連当局から厳しい批判を受け、5年間上映禁止とされた。
ロシア映画というのは沈うつな雰囲気を漂わせた作品が多い。それはロシアという国が負ってきた歴史の重さが作り出す風土にによるところが大きいと思う。ロシアに華やかなりしルネサンスはなかった。かわりにその鬱屈した精神が偉大な芸術の源泉となったのだ。ルブリョフのあたかも苦行のごとき生涯は、観る者にもまた苦行を強いるが、最後に鮮やかに映し出される彼の作品を前に我々は、旋律と共に歴史というものの永続性を再認識するのである。
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