DVD アイ・ヴィー・シー 2002/10/25 ¥6,090
何度も映画化された同作の中でNo.1と賞されるジャン・ギャバン主演作。ジャン・バルジャンは一切れのパンを盗み投獄され、脱獄を企てたが故に刑期が延長。司教との出会いで罪を償った彼は、やがて人望を集める市長となるが、彼の過去を知る男が現れ…。
小説を読んでしまったことを記念して、そして、さらに物語の記憶の定着させるべく、レ・ミの映画作品をあるだけ借りてきた。
これはその1本目。
ジャン・ギャバンの演技は確かに素晴らしいが、映画には映画の見せ方というものがあるはずであり、この作品は、小説の手法で映画をなぞっているだけのような感じがしてならなかった。描かれる登場人物の心象が詳細に描かれるのは、小説では、文章であり、映画では画面がその役目を果たすのは当然のこと。つまり、心象を言葉で説明し尽くすことは映画では不可能であるのだから、その部分を演技者が、そして演出が、そして添えられる音楽が補うわけである。それが映画の作法であり、映画を映画たらしめているところである。確かに小説の細かいエピソードまで再現しようという苦労は見られ、良く言えば小説に忠実であるが、レ・ミゼラブルの圧倒的なパワーを伝えるには、あまりにも小説的な映画であるといわざるを得ない。ゆえに心の内奥を揺さぶられるほどにはこの映画は小説を昇華しきれていない。

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