DVD ジェネオン エンタテインメント 2001/07/21 ¥4,935
第二次世界大戦中、ドイツ軍に侵略されたセルビアの首都ベオグラードに住む武器商人のマルコは、レジスタンス活動を行うために市民を率いて地下に潜伏し、そこで武器を製造させて巨万の富を築きあげる。そして大戦が終結した後も、彼は市民にそのことを告げず、せっせと武器を作らせ続けていく…。
サラエボ出身のエミール・クストリッツァ監督が、バルカン半島の情勢が緊迫する90年代半ばに作りあげ、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した問題作。シニカルで滑稽な作風のなか、哀しく愚かでありながらも生き続けていく人間への賛歌を露にしていく171分の力作でもある。クストリッツァ映画に欠かせないジプシー・バンドの音楽も効果的だ。
娯楽映画としてみても、戦争映画としてみても一級品の傑作。シニカルな笑いの中にも、戦争の哀しみや悲惨さを感じさせ、作者のメッセージも充分に掴み取れるように作られているその手腕は、観る者にクストリッツァという名前を嫌がおうでも意識させるだろう。クストリッツァは天才というより奇才と呼ぶべきであり、その本人自身実に奇人である。それは、彼の作品を観ていけばわかることなのでここでは述べないが、何はともあれ様様な要素をこれだけ絶妙に料理してしまえる監督は現在そうはいない。面白おかしく悲劇を語る作品だからこそ、悲劇から目をそむける人々にも目を向けさせることができるという意味において、この作品の存在は貴重であり、それでけでも高い評価に値する。

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