E・ブロンテの原作の神秘性が具現化され、かの大作は86分に集約、密度の濃いラテン的な情熱の物語の、その暴力性には全くめまいがする。主人公のヒースクリフをアレハンドロ、ヒロインのキャサリンをカタリナ、とスペイン名に改め、舞台をヒースの丘からメキシコの砂漠へと置き換えている。養子として育てられたアレハンドロと、彼と幼少の頃より愛しあっていたカタリナ。しかし、兄によって二人の仲は引き裂かれてしまう。故郷を離れ、実業家として成功し、復讐の念に燃え帰郷したアレハンドロを待ち受けていたものはカタリナの訃報。亡骸に接吻する時の愛と呼ぶより狂気、そして、怒涛のラスト。呆気に取られること必至のブニュエル演出が炸裂する。音楽もワーグナー(“トリスタンとイゾルデ”)ですからねぇ……。どこまで西欧的なるものをコケにすれば気がすむんでしょう。
ブニュエルの演出は、おぞましいなあ。『嵐が丘』をこの短さで仕上げられるあたりは今ならすごいと思うかもしれないけれど、あの頃の僕には拍子抜けだった。ブニュエルのすごさもよく理解してなかった頃だもんね。。といって、ブニュエル作品はマイナーすぎて、なかなかビデオ屋においてなくて、あまり観てまへん。

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