VHS ビクターエンタテインメント 1989/09/22 ¥14,595
万人向けではないが、傑作にしあがっている。僕が今まで観てきたワイダの作品群では、この「悪霊」を躊躇なく推す(多くの人達は、「灰とダイアモンド」を挙げると思うけど)。
僕が心酔したのはなんといっても全体的に灰色がかったその世界観。そして人物達の玄妙な美しさ。硬質なストーリーを更にそれらが不気味な怪しさで包んでいる。その沈うつさはまさに、ドストエフスキー的である。
ただ、ストーリーは、原作同様、理解し辛く(それでも精一杯映画として成立させているとは思うのだが)、映画という形式をとっているので、小説よりも更に全体像がつかみにくいものとなっている。
原作を一読してから観ることをお勧めする。
ドストエフスキーの「悪霊」の映画化。1870年頃のロシア過激派の青年たちの群像劇。スタヴローギンにウィルソン、ピョートルにエコフィが扮している。ワイダは72年に舞台版「悪霊」を演出したが、この映画ではオープンシーンはスペクタクル(火事シーンなど)、メインとなる室内シーンは演劇的手法を駆使、テーマも原作のベースとなったネチャーエフ事件に絞り込んで脚色、それに伴う政治理念の必然的な荒廃をリアルに描いている。僕がもっとも好きなドストエフスキーの小説だが、これを映画化するのは難しいと思っていたので、まさか、映画があるとは思っていなかったので、見つけた時は狂喜した。
万人向けではないが、傑作にしあがっている。僕が今まで観てきたワイダの作品群では、この「悪霊」を躊躇なく推す(多くの人達は、「灰とダイアモンド」を挙げると思うけど)。
僕が心酔したのはなんといっても全体的に灰色がかったその世界観。そして人物達の玄妙な美しさ。硬質なストーリーを更にそれらが不気味な怪しさで包んでいる。その沈うつさはまさに、ドストエフスキー的である。
ただ、ストーリーは、原作同様、理解し辛く(それでも精一杯映画として成立させているとは思うのだが)、映画という形式をとっているので、小説よりも更に全体像がつかみにくいものとなっている。
原作を一読してから観ることをお勧めする。
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