映画 『コントラクト・キラー』
2004年2月17日 映画〔洋画〕
DVD ビデオメーカー 2002/05/24 ¥4,980
簡潔ながら、行間を読ませるような描写に、そこはかとなく独自のユーモアが漂い、日本でも大人気のフィンランドのカウリスマキ監督が、サスペンス喜劇の本場イギリスで製作した、おもろうてやがて哀しき式の、愛すべき佳篇。長年勤めた職場を追われ、家族も恋人もなく、人生に絶望した主人公(トリュフォーとの名コンビで知られるJ=P・レオ)が、自分を殺す契約を闇の組織と結んだ途端、ドン詰まりの日常がにわかに好転してきて……。生きたいと思い始めたときに殺し屋の手が伸びる悲喜劇は、確かにイギリス映画にも、また邦画も山田洋次監督、坂本九主演の「九ちゃんのでっかい夢」(原作を小林信彦が変名で書いている)があるが、本作ほど死にたい動機が切実に身に迫る作品はあるまい。カウリスマキ=フィンランド人のメンタリティは、非常に日本人と似通ってるようだ。死にたくても死ねない男。業を煮やして殺し請負人に自分の殺しを依頼するところから人生は好転していく。結構笑いました。しかし、カウリスマキは安易なヒューマニズムに終わらせていないからよい。安易なヒューマニズムも好きなんだけどね(笑)。
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