映画 『セックスと嘘とビデオテープ』
2004年2月17日 映画〔洋画〕
DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2002/10/04 ¥2,500
ではそのことに疑問をもった者はどうなるのか?社会においては異常な変態として切り捨てられることになるか、犯罪を犯して刑務所いきである。この作品に出てくるグラハムという男は、自分を隠さない。本当の自分であろうとする。それは、エートスの壁を打ち破ることを意味する。男の性癖が、社会から見て異常であっても、男にとっては正常で、まわりが異常に見えるだろう。男は病気なのかもしれないが、もしかしたら男以外の社会のほうが病気なのかもしれない。たまたま男の本心が純粋であったために、異常とみなされる性癖を持っていても、どこか彼には静謐さが漂っている。正常と異常の境界線。それは理性と野生の葛藤でもあるのである。
もっとえっちい内容かと思っていたけど、やっぱりソダーバーグはソダーバーグだった。うん、これはお勧めだね。
一見理想の夫婦として知られているジョン(ピーター・ギャラガー)とアン(アンディ・マクダウェル)。しかしジョンは、アンの妹シンシアと不倫の関係にあった。そんな折り、ジョンの旧友グレアム(ジェームズ・スペイダー)がやってきたことで、彼らのさまざまな愛憎の姿がやがて赤裸々に暴露されていく…。正常と異常の境界っていったいどこにあるんだろう?そんな事を考えさせられた作品だった。僕たちは多かれ少なかれ、社会と接点を持つ際に本当の自分を隠し、ペルソナをかぶる。そして現代のエートスと勘案し、正常を認識する。それは、社会に出れば、正常とみなされるが、自分の本心には嘘をついていることになる。それは言いかえれば、営みを円滑にするために異常を正当化し、正常な自分(本当の自分)という感情を異常として切り捨てることである。それもまた、人間が社会で生き延びるために編み出した知恵であるといえるかもしれない。
当時26歳だったスティーブン・ソダーバーグが初監督し、89年度のカンヌ国際映画祭でパルムドール(グランプリ)およびジェームズ・スペイダーが主演男優賞を受賞した問題作。タイトルに表れている3つの要素をアイテムとしながら、現代人の深層心理が繊細に、そして大胆に描かれていく。特にビデオ撮影を用いた実験的描写の数々がおもしろい効果を醸しだしている。
ではそのことに疑問をもった者はどうなるのか?社会においては異常な変態として切り捨てられることになるか、犯罪を犯して刑務所いきである。この作品に出てくるグラハムという男は、自分を隠さない。本当の自分であろうとする。それは、エートスの壁を打ち破ることを意味する。男の性癖が、社会から見て異常であっても、男にとっては正常で、まわりが異常に見えるだろう。男は病気なのかもしれないが、もしかしたら男以外の社会のほうが病気なのかもしれない。たまたま男の本心が純粋であったために、異常とみなされる性癖を持っていても、どこか彼には静謐さが漂っている。正常と異常の境界線。それは理性と野生の葛藤でもあるのである。
もっとえっちい内容かと思っていたけど、やっぱりソダーバーグはソダーバーグだった。うん、これはお勧めだね。
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