映画 『愛しのタチアナ』
2004年2月15日 映画〔洋画〕
DVD ビデオメーカー 2002/05/24 ¥4,980
宣伝には“準・巨匠”の称号が使われていたA・カウリスマキ。そうかも知れない。何だか小津映画みたいな完成度なのだ。もはや、誰にも真似できない域に彼はいる(マネしたければの話だが)と確信させる62分だった。一人はコーヒー中毒、片やウォッカ瓶をいつも持ち歩く(しかも飲む時は一気飲み)フィンランド男二人組が唐突に旅に出る。前者のマザコン洋裁屋ヴァルトが、後者の自動車修理工レイノの所に預けた車を取りに来たかと思うと、そのまま何の説明もなく出発してしまう。レイノは自称ロックン・ローラー。車内のカーステのカセットの所にはレコードプレイヤーがくっついていて、チープなフィンランド・ロックをがなり立てる。途中、エストニアとロシア人の二人組の女性を拾うが、何が起きるでもない。お互いほとんど無口でテーブルを囲み、しかし、それなりに心を通わせているのだ。彼女たちを港まで送り届け、このまま本当に何もないのかと思ったら……。サウナだけじゃない、フィンランドは内気天国。世界の全てがアメリカ化してもここだけは違う、という希望が持てた。カウリスマキの作品の異質感は俳優たちの意図された不器用さにも現れてるよね。小津安二郎の映画のパロディー的要素も感じるね。カルトな小品なれど、やっぱりカウリスマキ臭プンプン。好きです。
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