DVD 松竹 2003/05/24 ¥4,700
時は幕末、庄内地方の小さな藩の下級武士・井口清兵衛(真田広之)は、ふたりの幼い子どもと老母の世話をするため、勤めが終わるとすぐに帰宅することから「たそがれ清兵衛」と同胞たちからあだ名される冴えない男。しかし、幼なじみ朋江(宮沢りえ)の危機を救ったことから、実は剣の腕が立つことが世間に知れてしまい、ついには藩命で上意討ちの討ち手に選ばれてしまう…。
時代小説の大家・藤沢周平の短編『たそがれ清兵衛』と『竹光始末』『祝い人助八』をベースに、これが時代劇初演出となる巨匠・山田洋次が監督。当時の時代考証を綿密に行いつつ、ささやかな家族愛や忍ぶ恋心、そしてダイナミックな殺陣シーンなどを見事に具現化している。人間本来の美しい心のありようを、決して押し付けがましくではなく、優しくささやかに問いかけてくれる、日本映画でしかなしえない必見の秀作。真田の素朴さと宮沢の清楚な美、両者の好演も特筆ものである。
しみじみと、日本。清廉な魂がそこに息づいていて、邦画ならでわの傑作にしあがっている。今も昔も、サラリーマン。ただ違うのは、昔の公務には、命を賭すことも含まれていた。現代は、その心配はないのに、人は精神の疲弊により、自ら命を絶ったりする。
生活が慎ましいからこそ、躑躅が咲くのに気づく。貧しくも、人の心は富んでいる。望まぬことこそ幸せ。過度の欲を捨て去った時に、始めて、自分の心はすでに満たされていることに気づく。なんによって?現在の暮らしによって。今現在の僕たちの生活の中にだって、よく目を凝らせば、いっぱい幸せの種は落ちてるんだよなあ。
ディテールのこだわりに、役者の的確な演技。大作ではないが、そこには普遍性がある。世界の人にも観てもらいたい。ぜひとも、アカデミー外国語賞をとってほしいなあ。 

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